織田と斎藤の和睦

織田信長



美濃の侵攻に難儀していると、斎藤利政(道三)から和睦を言われた。受けたくなかったが婚姻を含めた和睦だから拒否する訳にもいかん。


相手は娘の帰蝶だ、蝮の血を色濃く継いでなきゃいいがな。秋頃にこちらに来るらしい。


「殿ー!北条から手紙が届いております!!」


「サル!そんなバカでかい声で言わんでも聞こえておるわ」


「ひぃ!申し訳ございません」


なになに、道三の命が危ない?新九郎(義龍)に狙われてる!?いかん、和睦が破綻する所か織田家の謀だと思われかねん!


「帰蝶より先に利政殿を迎えるぞ!命を狙われておる!!」


「はっ」


「まさか新九郎殿ですか?」


平手正秀は俺の傅役だったが今では相談役としている、頭も切れるしなかなか使える。


「あぁ、あやつは何度か俺に刺客を送った事があるが懲りない奴よの。今回は織田と斎藤の関係を破綻させたいらしい」


「しかし龍司殿は美濃のまで目と耳をお持ちになっておりますな」


「あやつの草は三千を超えると聞いた、五千まで増やす気だそうだ。変わったやつよな」


「ですが幻影衆の禄は余るほど貰えるとか。北条の中でもかなり財力のある方でしょう」


確かに恐ろしい、年に二十万から三十万貫は稼いでいるだろう。


「殿もうつけと言われながらも、津島の商人に銭の仕組みや恐ろしさを学んでたではありませんか。それを知っているだけでも他家との違いは大きいかと」


「おだてても何も出んぞ?」


「私は殿にお仕えしてるだけでも充分幸せですので」


「ふんっ」







斎藤新九郎



「なに!父上がいないだと!?どういう事だ」


「はっ、昨夜から行方をくらましておりす。恐らく尾張へ向かったのでは?」


「くそっ、露見したか!綿密に進めていたはずなんだがな」


しかし何故分かった?隠居という形で押さえ込み、始末する筈がこの時点で露見するなどありえん。信の置ける奴にしか話しておらんぞ!織田にそこまでの力は無いはず・・・北条か!!


近頃北条から名を挙げておる坂本龍司とかいう、銭稼ぎに目がない愚か者めが手を貸しおったか!


おのれ坂本龍司、見ておれよ。必ずお主に泥水を啜らしてやるからのう。





坂本龍司



何とか間に合ったか・・・道三暗殺が史実より早まったから急いで信長さんに知らせたけど、無事救えたみたいだね。


蝮とか言われてるけどこの世界に来て情報を集めるうちに、道三がかなり優秀なのは分かっていた。失うには惜しい人だ、是非とも尾張で信長さんをサポートして欲しいね!


義龍さんは史実通り病気なのかな、どっちにしろあの広い美濃を平定する力も無いだろうし、信長さんとやり合う技量も無いだろう。


このまま和睦と婚姻が成ることを祈るばかりだ、流石に距離があるから直接的なサポートも無理だし信長さんに頑張ってもらおう。


「殿、帰蝶姫も命を狙われてるそうです」


「・・・え?」


もしかして俺のせいか?道三が無理なら帰蝶!ってなるか普通。新九郎さんいくらなんでも単細胞過ぎるだろ!


「幻影衆を派遣して帰蝶姫を助けよう。信長さんに手紙を届けてる時間は無い、多少手荒な真似をしていい。責任は俺が取る」


「御意」

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