次世代の者達と商人組合

 坂本龍司



 春の足音が近づく頃、大幸丸が元服した。子供の成長は早いね、元服の儀式の時は思わず涙が出てしまった。今は昌輝君に修行してもらいながら一緒に伊豆の内政を務めている。


 希実はもっぱら剣術に興味を持ちいつも木の棒を振り回している。周りとのコミュニケーションの取り方も上手いから俺の道場の師範代とかやってほしいな、てか戦場に出て欲しくない・・・


 龍斗は未だに甘えん坊な所はあるけど、徐々に親離れしているのは悲しいもんだ。龍斗は手先が物凄く今日で焼き物の工房等に行ったりしてるから、将来は職人かな?千代女が心配してたけど、これから日本では茶器や陶器の価値が物凄く上がる、龍斗が坂本家一の大金持ちになる可能性だってあるんだ。


 氏政君はお市ちゃんとの顔合わせに尾張へ向かった。頭のキレる氏政君だから俺みたいに奥さんに尻に敷かれることも無いだろう。是非とも仲良くなって欲しいものだ。


 そんな俺は幻影衆からの報告に頭を悩ませていた。


「商人の勝手な行動が目立つか」


「はっ、中には分別のある者もいますが横暴を働く者もいます」


「良い人がいる分だけ悪い人が目立ってる感じだなこれ」


「それと幻影衆の中から数人ですが商人になりたいと申している者がおります」


「それなら、坂本家で商人の枠組みを作ろう。幻影衆から商人になる人に統制をやってもらって、横暴が続くようなら今後北条で商売が出来ないようにしよう」


「討ち取らないので?」


「商人は稼ぐのが仕事だからね、上手い塩梅でやらないとダメなんだよ。領民に手を出されたら処罰を与えるけど、この件は商人組合の件も含めて大殿に報告しとく」


「御意」


 商人は日ノ本を強くするのに欠かせない存在だ、丁重に扱わなきゃいけないけどそれで調子に乗られても困るしな。商人組合を立ち上げて少しは落ち着くといいんだけど。

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