諜報部隊と常備兵

 坂本龍司


 季節はもうすぐ秋になろうかという頃。伊賀と甲賀から藤林さん、千賀長さん、多羅尾さん、鵜飼さんが北条に到着した。


 少しすると風魔小太郎も合流した。これから忍者として何をして欲しいのか、話し合っておこう。


「長旅お疲れ様。とりあえずお茶飲んでよ!それと俺の前ではそんな畏まらなくていいから、楽にして」


「相変わらず殿はお優しい。ではありがたく」


「今の所何人くらい北条に来てる?」


「今は五十くらいでしょうか」


「そっか、来れる人はどんどん来ちゃって構わないから。風魔と相談して見つかりずらい場所に仮の屋敷とか小屋とか建てておいたけど。好きに改築していいし、好きに増やしていいかね。費用もちゃんと出すから」


「ありがとうございまする」


「さて。これからやって欲しいことを話す前に、乱波から名前を変えよう。これから人数増えることだし、一つの団体として。諜報部隊、幻影(げんえい)とする。隊長に俺を据えて、5人には幹部になってもらう。よろしく頼むぞ!」


「「「御意」」」


「これから幻影の掟を2つ作る。一、幻影内での争いを禁ずる。二、命を粗末にするな。一に関しては、色んな流派の乱波が集まると問題もあると思う、幹部の皆で協力して必ず纏めあげてほしい。二に関しては、そのままだね。出来るだけ死ぬな!命の危機を感じたら、迷わず逃げていいから」


「日常では危険な所に送ったりしないから。商人として他国に行って情報集めるくらいかな。本命は防諜、北条では新しいこと沢山やってるからとにかく外に漏らしたくない。あと、任務は失敗してもいい。失敗こそ自分の糧となると思って、恐れずやって欲しいかな」


「畏まりました。皆に然と伝えておきます。それと、殿のお仲間の皆様に護衛も付けておきます」


「ありがとう、助かるよ」


「そういえば、一族郎党も来るのかな?来るのだとしたら、子供に乱波にさせたくない人が居たら言ってね。今の北条は働き口が沢山あるし、猫の手も借りたいくらいだからさ」


「何から何まで、ありがとうございます」


「なんのこれしき。この幻影が、乱波の慣例を壊していくんだ。みんな頑張ろうね!」


「「「御意」」」




 智


 フフフフ、この常備兵を見たら龍司様びっくりするでしょうね。お、ちょうど来ましたね・・・・


「え、智。これ自衛隊だよね?ほふく前進とか必要かな・・・」


「はい!自衛隊の資料を読み漁り、この時代の戦と掛け合わせた調練になってます」


「でも必要な事だね。戦で人が死ぬのは当たり前。だからこそ犠牲を少なくするために常日頃から行動に移さないとね」


 龍司様も変わりましたね。特にこの時代に来てからの変化、いや進化は恐ろしいほど。マイペースではありますが、順応力は元々高かったですからね。これからが楽しみです。

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