大改革への道 其の二
北条氏綱
なんて奴なんだ、恐ろしくてたまらん。そんな政策が次々出てくるとは。しかしなぜそこまで・・・
「龍司、なぜそこまでしてくれるのだ?」
倅も同じ気持ちだったか。だがこれは聞いておかねばならん事だな。
「正直に申し上げますと北条家と言うより、日ノ本に少しでも早く安寧の時が来るようにする為です」
認めよう。こやつは儂らの上をいっておる・・・儂ですら関東の覇者になりたいと思ったことはあったが、日ノ本全てを憂いたことなどないわ。まったく、とんでもない奴が仕官したもんだわい。
「そうか、分かった。儂はお主を信じる」
「ありがとうございます。恐れながら日ノ本の安寧に向けて、私はもう一つやりたいことがございます」
「まだあるのか、申してみよ」
今度は何を言い出すのだ?頭が疲れてきたわい。もう何でも言うてみよ。
「身分により虐げられ、苦しい生活をしている者達を救うことです」
そう言いながら坂本龍司は天井裏に隠れている風魔小太郎をみた。気づいておったか、流石じゃの。小太郎から動揺の念が伝わってくる。
「風魔小太郎殿、出てきてくれますか?」
「小太郎、構わん、出てこい」
「はっ」
しかし名前まで知っておるとはの、風磨に何をする気だ?
「私はここに来る前に、伊賀と甲賀で乱波に来たいだけ来いと言ってきました。禄は先の時伝えた通り出すので、風魔一族にも同じ禄を私から出します。私に忠誠を誓わなくていいですし、今まで通り北条家を支えて欲しいと思っております」
乱波に頭を下げた・・・これは絶対に譲れないという強い意志を感じる。
「龍司殿、風魔一族を任せても良いかの?」
幻庵が今まで見た事もないくらいとても和やかな顔で、優しい声で聞いた。
「風魔一族がそれで良いと言えば、私としてはこの上なく嬉しいです」
「御意、我ら風魔一族は北条家と坂本龍司殿に忠誠を誓いまする・・・」
しかし風魔以外にも、甲賀や伊賀から乱波がくるか。北条家は鉄壁になるな。
「とりあえず私から伝えたいことは以上になります。この場を設けて頂けたこと、私の覚悟を聞いて信じてくれたこと、誠にありがとうございます」
「龍司、恩に着る。ここまでの覚悟をもって北条家に来てくれたことを誇りに思う」
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