まさかの一目惚れ!

 坂本龍司



 伊賀、甲賀にて大収穫を果たした俺達は、一並さんと慶次を連れて関東に向かっていた。その途中、せっかくだから敵地の今川領に行きたくなったので、他のみんなは先に北条家へ行ってもらい、俺は散策&偵察を始めた。


 今川家も中々栄えていた。やっぱりこの時代は海がある家は強いよな。そうなると武田家は苦しいんだろうか。


 そんなことを考えていると、小さい寺が見えたので、ちょっと散歩がてら見てみようとしたら・・・・


 俺は出会ってしまった。元の世界でも出会うことのなかった運命の相手。よく身体に電撃が走るとか言うけど、あれ本当だったんだね。


「あの、いきなりすみません。あなたの名前を聞いても?」


「私かい?次郎法師だけど」


 見惚れていて思考停止してたが、次郎法師と聞いてハッとなった。次郎法師って確か井伊直虎か!?いやそんなことより!!


「あんた強そうだね、手合わせ良いかい?」


「良いけど、1つ約束してくれ」


「なんだい?」


「俺が勝ったら、妻になってくれ」


 自然と言葉に出ていた。自分でもびっくりしている。でもこんなに美しい人誰にも渡したくない!!この時代はこんなプロポーズもありなんだ、大胆に行こう。


「私と同じこと考えてるなんてね、気に入ったよ。そういえば名前は?」


「坂本龍司だ!」


 その後手合わせしたんだが、なかなか強かった。まあ勝ったんだけどね!


「参ったよ。これからよろしくね、旦那様」


 不意に旦那様と呼ばれ、鼻の下が限界まで伸びた俺。


「お、おう・・・よろしくな」


「それでこれからどこ行くんだい?」


「北条家だけど、良いかな?」


「それは好都合、今川とやる時は私も行くからね!」


 あぁ、やっぱり今川に恨みがあったか。でもな〜妻を戦場に連れて行きたくない・・・けど、これに関しては仕方ないな。


「今川の時だけね」


「分かってるよ〜」


 そう言って俺の頬をツンツンしてくる。リア充最高だ!もういつ死んでもいい!!


 その後、寺の人に事情を説明して、快く送り出して貰った。


「ねえ、私の名前考えてよ」


「そっか、そうだよね。うーん・・・富士子はどうかな?富士の山のように、日ノ本を照らす明るい性格だから!」


「いいね、気に入った!」


 次郎法師さんは、井伊の名も捨て坂本富士子になった。

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