甲賀と滝川一族
坂本龍司
こっちでは里の前で囲まれるとかは無かったけど、かなり怪しまれた。かなりの高待遇だから逆に怪しまれたので、伊賀と同様に支度金を出したら信じてくれた。
無事に鵜飼孫六と多羅尾光太をスカウトした俺達は、休憩も兼ねて甲賀の里で数日滞在させてもらうことになった。
里を探索していると火縄銃の音が聞こえてきた。
「すみません、それって火縄銃ですか?」
「はい、そうですが」
「いきなりすみません。私は坂本龍司と申します。いい腕ですね、もう一度見せて貰えますか?」
「はあ、構いませんが」
そう言ってある男は火縄銃を構えると、すごい集中力である事が伺えた。的に百発百中!優秀だね。
「もしよろしければ、うちで働きませんか?うちには鉄砲鍛冶もいるので、良い銃で練習出来ますよ。 」
「なんと!?是非ともお願い申す!申し遅れました。某は滝川一益と申します」
今なんつった?滝川ってあの滝川?
信長の重臣のだよな。そっかまだ尾張に行ってなかったのか・・・これは掘り出し物を見つけた気分だ。
「鉄砲指南と鉄砲隊指揮として、500貫でどうでしょう?領地とかは無いですが・・・」
「そんなに貰えるなら領地なんて要りませんよ。銃が打てれば満足です!」
元気な好青年だな。それでいて知的な部分もあるし、信長が即決で仕官させた訳だよ。
「じゃあこれからよろしくお願いしますね」
「龍司様、私は貴方に仕えることになったのです。丁重な言葉遣いはやめてくだされ」
あーそっか。俺が殿になるんだもんな。忍者の皆さんが困ってたのはそれか!なんか悪いことしたな・・・反省。
「分かった!これからよろしく頼むよ」
ここで滝川一益に会うとは。ということはまさか、あの有名な悪ガキもいるんだろうか?会ったら絶対連れて行く。
そんな事を思いながら過ごしたが結局会えず、出発の日を迎えた。
「甲賀の皆さん、大変お世話になりました!これからよろしくお願いします」
「殿・・・」
あ、言葉遣い。忘れてたわ・・・・・
ごめんね滝川さん、そのうち慣れるからさ!
「おーい、あんちゃん、なかなか手練だね!」
出発しようとした時、遠くから駆け足で来る子供がいた。
「こら、慶次郎!無礼だろうが!!」
「痛ってー、いいじゃんかよ」
やっぱり現れたか前田慶次!!絶対連れてってやる。
「良かったら、僕も来るかい?」
「僕じゃねえ!俺は慶次郎だ!!」
「こ、こいつを連れていくのですか!?かなり生意気な小童ですぞ?」
一並さんが慶次にげんこつを食らわせながら聞いてきた。
「いいじゃん、面白そうだし!」
「あんたが俺を鍛えてくれるってんなら行ってやってもいいぜ」
「おう、任せとけ!かなりきついから覚悟しとけよ?」
「おうよ!」
滝川一益
私は一族からあまり言い目で見られてなかった。乱波が火縄銃なんか撃つのを嫌ったからだ。それでも好きで続けてたら、いきなり話しかけられた。少し話しただけで誘ってくれるとはな。名を龍司と言ったか、まだ成長しきってない感じだが、恐ろしく手練。即決で仕えることにしたが・・・
まさか慶次を連れていくとは。変わり者どころでは無い、龍司殿に迷惑しかかけないと思うのだが。それでも殿は即決で連れてきてしまった。これからどうなるのやら。
「慶次、あんまり殿に迷惑かけるなよ?」
「あぁ、分かってる。それにしてもあいつ只者じゃねえぜ。最初は断られても無理矢理行く気だったが、まさか向こうから誘われるとはな。面白くなってきたぜ!」
笑ってる場合か?しかし慶次のこんな真剣な顔は見たことない。確かに面白い、私もあの方にかけようじゃないか。
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