伊賀の忍び達

 とある忍び


 あの一行はなんなのだ?

服は上物だしなぜ伊勢の隠れ里に一直線に進めるんだ・・しかも先頭を歩いてる奴、あれは勝てねえな。

上忍が10人いても危ういくらいか?まだ15くらいの童に見えるんだが、若いのにとんでもなく手練だな。

 これは棟梁に報告しないとまずい。



「棟梁」


「顔色が悪いな、どうした?」


「ある一行が真っ直ぐこの里に来てます。その内の一人はかなりの手練のようで」


「分かった、里の入口に私も行こう」



 坂本龍司


「・・・・・・・付けられてるな」


「え、マジで?全然わかんねーや」


「まあ剣術身につけたのボスだけだしな」


 険しい山を登り、ようやく里が見えたと思ったその時、20人くらいの忍者が一斉に出てきて囲まれた。


「失礼、そなたたち一行はこの里に御用ですかな?」


「はい、坂本龍司と申します。藤林長門守保豊殿と、千賀長保長殿にお話がありまして」


「私が千賀長保長ですが、とりあえず屋敷にご案内しましょう。誰か保豊を読んできてくれ」


「御意」


 良かった襲われなくて。それにしても千賀長さんが直接出迎えてくれるとは。しかし忍びの里か〜テンション上がるわ、しかも御意って生で聞けたし!!





 藤林長門守保長



 保長にいきなり呼び出され何事かと思って客の間に入ったが。元服したくらいの小童と数人の一行か、しかし恐ろしく強いな。儂と保長でも敵わん。


「お待たせしました。藤林長門守保長をお連れしました」


 とりあえず話を聞いてみるか。警戒は怠らないように指示しておこう。


「わざわざありがとうございます。今回はお2人に私の元で働いて頂きたく、ここまで来ました」


「我々は乱波ですよ?乱波はその時々で雇先が違いますし、なんと申し上げればよいのか・・・」


「私は身分で人を差別しません。乱波だろうと優秀なのに変わりありませんし、この時代において情報がどれだけ大事か分かっているので、お誘いしています」


 なんなのだこやつは?乱波を差別しないだと!?たが、確かに丁重な言葉を遣いよる。何がしたい?


「・・・分かりました。それで人はどれほど必要なので?」


「この里を出られるだけ。何人だろうと構いません。銭は期待してください!お2人は300貫、上忍は200貫、中忍は150貫、下忍は50貫でどうでしょう。数に限りは設けません。出来るだけ多く来てください」


 ふざけてるのか?下忍は倍以上、それ以外に至っては数倍だぞ!?


「ほ、本当ですか?とても信じられない禄ですが・・・」


「銭だけは持っているので。支度金と家族の皆さんへの土産として500貫置いてくので、里の皆さんでお使い下さい。それと、甲賀からも同じ禄で働いてもらおうと考えていますが、関係悪かったりしますか?」


 我らだけでなく、一族郎党にまでの配慮。こちらを見下さず、尊敬の念すら感じられる。この人にかけたくなったわ。


「これは参りましたな。この藤林長門守保豊、龍司様に忠誠を誓います」


「千賀長保長も同じく、忠誠を誓います」


 それにしても甲賀まで同じ禄で集めるとは。甲賀との関係は問題なかろう。多少の問題はあろうが、それは我らが収めればいい話。


「甲賀に関してですが、立場上協力することもあれば、争うこともあります。ですが伊賀も甲賀もそこは割り切ってやっておりますので、心配はご無用かと」


「分かりました。早速1つ仕事を頼みます。北条に来る際に孤児や老人を出来るだけ連れてきてください。500貫前払いで置いていきます」


 恐れ入った。乱波にホイホイ銭を置いていくとは・・・裏切られるとすら思ってないのか、裏切られてもそれはそれで腹を括っているのか。只者じゃない。


「私達はこれから甲賀に向かいます。関東の北条までかなり遠いので、ゆっくり来てください。秋までに来てくれれば良いので」


「御意」


 とんでもない事になった。

 なぜだか分からんが、これから面白くなる気がしてならん!!腕が鳴るわい

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る