第11話 問題児対策会議2

「反省会をしようと思います」


 まずは机の上に足を置いた山足担の中川先輩から指された。

「山足は結構頑張った方だと思う。在廊は難しかったが、絵の感想カードを見せていたら、喜んだり少ししょげたりして面白かった。完成度はやはり高くて写真を見ているようだったと好評だった。反省点としては他者と話す機会がこれまで無かったからまだ課題としてありそうだ。私からは以上」


 次は大城担の安達さん。

「今回はちゃんといいえが言えたので、パターン化はしたものの。クラスのパンケーキ作りではちゃんとバックヤードでは戦力になりました。ただ、難解な意見を要求された時に「あー」や「うん」や「いいえ」では対処出来ないこともありますので、そこの対策はしていかないといけないと思います」


 三人の目がこちらへ向いた。

「ほぼ仮面を被ってくれました。まだ成功の部類です。ただかなり体力を使うようで二日間風邪で休みになりました。十一月中頃の体育祭は父兄しか来ないのでなんとかなりそうですが、素行は悪いまま進行していくかと」


 はぁ、とため息が聞こえた。つきたくなる気持ちが分かる。大体、ここにいる吉田先輩や中川先輩に安達さんの困り事と、私は違う。

 ここにいる人達は三人がいないと人間として最低限の生活を送ることが出来ない。

 だが、前田は素行が悪いだけで


 山足先輩みたいに完全記憶能力があるせいか日常生活に問題がある人、同じく性質のせいで生活が出来ないわけではない。

 おそらく性質的には宗先輩に似ているだろうが、宗先輩みたいに変態な男と鉢合わせた時に危険にさらされる可能性が低い前田はまた違う。


「先生からお願いされたから、入って貰ったけど、私たちでは手に負えないかな。まだ一年だし、対処のしようもあるかな」


 つまり、お断りだ。


 吉田先輩にも他の先輩としても苦い決断だろう。同世代の男の目が無いから先生からなっているだけで、まだノーマルの部類だ。


「吉田の反省も話してやれ。性質的には一番近いだろうよ」

 中川先輩はそう言ってくれた。


「宗は中が下着では無いコスチュームで衣装部の作品展にモデルとして参加したわ。ちゃんと誘惑出来ないようにしたから、そこでは封じられたわけよ。さすがにお昼ご飯を食べるのに衣装のままでは無理だから脱がして食べさせてたら、いつの間にかいなくてジャージのままステージに上がってズボンを少し脱いでちらっと。もうその後は実行委員会の機転でミスコンということにして、難を逃れたわ。本当に参考になったかな」


「だそうだ。これからもし前田が暴走した時は工夫と人脈だな。私達には想像出来ないが、体育祭と来年は頑張ってくれ。私達はアンタのことは見守っていく所存だ。ということで解散だな。議事録あるのか?」


「安達ちゃんに先生へ報告行くよう頼んでいる」


「じゃ、安達頼んだぞ」


「分かりました。それとこれ」

 安達さんは紙をくれた


「タイプは違うけど、困ったことがあったら相談に乗ります」

 ありがとうございます先輩。でもきっとゴリラはゴリラです。


「半年間お世話になりました」


「ごめんね何も出来なくて」


「じゃね、中田さん」

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