第9話 寄港
船が、港に着いたのは、それからさらに数日後だった。館内放送で、横浜に着いたとの連絡があった。ただ、しばらくは、陸地には降りれられないらしい。重症者から、随時病院に運ばれているようだ。病院側の受け入れ施設が少ないため、全員が降りれるようになるまでには、何日もかかるらしい。お医者さんの数は、一気に増えた。聞いたところによれば、船内に持ち込まれた機器で、軽い手術はできるようになったらしい。食事のバリエーションが増えたのも、変わったところだ。正直これくらいしか毎日楽しみがないので、非常に嬉しかった。
私はといえば、相変わらず天井の縞模様を数えていた。ただ、窓の外を見れば、陸地が見える安心感があった。そのせいか、縞の数は数えるたびに違っていた。スマホの動画は見尽くしていたし、見る気分でもなかった。だれかとはなしたかったが、相変わらず電話をかけてくるカール以外は、誰からもかかってこなかった。
チイに会いたい。
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