第7話 天井
部屋のベットで天井を見ている。以前もこうしてみていた気がする。あの縦縞の数は、確か1256本。何度も何度も数えた記憶がある。いつの記憶か思い出せないけど。コンコン。ドアをノックする音が聞こえた。急いで飛び起きて、ドアを開ける。カールだった。
「ゆきこさんは、具合はどう?」
「少し寝たら落ち着いた。」
「それは、よかった。今ちょっと船内で、発熱している乗客が増えてる。それかと思った。」
何だろ。どこかで聞いたことある話だ。どこだったっけ。
「もう時期、館内放送がかかると思うけど、あまり部屋の外に出ない様に。」
そう言って、彼は出ていった。10分ほどして、ピンポンパンと耳障りな機械音がなり、放送がかかった。
「ア!ア!マイクのテスト中。現在、館内にて発熱される方が急速に増えております。非常に感染力の強いインフルエンザの様な病気です。お客様におかれましては、それぞれの客室からなるべく外に出られない様にお願いいたします。」
「また、お客様でお身体の具合が悪くなった方がおられましたら、枕元の内線電話で、6521におかけください。医師が順番に診察に伺います。決して、部屋の外に出ないようお願いいたします。」
続けて、ピン・ポン・パンと機械音が鳴って放送が切れた。
どこかで聞いた話だ。そうだ!佐久間さん。忘れてた。佐久間さんの話だ。ええっと。乗客の半数が罹患して、そのうち何割かが亡くなったっていう。あの船。船の名前。思い出せない。
天井をを見上げた。縦縞の模様が見えた。
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