美しい言葉は誰のために

正野 心

負け犬

 今日、カクヨム甲子園2023の中間選考の発表がありました。僕は落ちました。(他の方々も一緒に下げるような言い方だと感じる方がいらっしゃるかもしれませんが、あくまで僕の話なので。それとも、僕自身にまで気を使わなきゃいけないんでしょうか。)


 醜いのは自覚済みですが、何度も何度も画面をスクロールしました。ロングストーリー部門だけではなく、ショートストーリー部門まで見てから諦めがついたようです。それから、目を瞑って色々なことを思いました。文化祭の準備と〆切が重なって2時間しか眠れなかった夜とか、応援してくれた友達や先生方の顔が思い浮かんだのです。そして何より、ずっと僕の味方でいてくれた、パソコンのことを思いました。


 深呼吸をしながらゆっくりと目を開けました。それから、とりあえず何かを書かなければ、と思った次第ですが、まだ内容は決めておりません。作品(自分の駄作を作品だなんて言うのは歯痒いですが)の裏話というのは、素晴らしい方々のみにそれを語る権限があるように思えて、どうも話す気にはなれません。では、作品(駄作)を書き上げてから今まで何をしていたのかを書こうにも、記憶が曖昧なのです。曖昧なことを言うのは罪だと僕は思うので、やはりこれも話したくはないのです。


 ああ、独り言を文字に起こしているうちに一つ思い浮かんだことがありますから、それを話させてください。


 はじめて『カクヨム甲子園』に応募しようと思ったのは、もう2年前のことになります。しかし、僕の惰性が邪魔をして〆切の日までに文章を書き終える、ということが出来なかったのです。それで、今年の目標は「応募すること」にしたのですが、どうも人間というのは強欲で、僕は中間審査を通り越して更に上の方へ行きたいと思ったのです。ですから、ひたすらに「どうすれば受賞するのか」ということを考えました結果、自分の腕を磨くよりも刺激的な物語を作る方に重点を置いたのです。


 はあ、僕はなんて馬鹿なんでしょう。未だに自分の文章というものが恥ずかしくて読み返せないというのに、それをひと様に見せるという選択をしたのも馬鹿馬鹿しい。そして、語彙を増やすことやストーリーの構造に対する造形を深めることはおろか、自分の世界観に顔をうずめて周りを見なかった。その結果が、これですよ。


 ですからアレは、「今年で最後だし、僕は本気で頑張ったので悔いはありません」と言い切れるほどの作品ではなかったというわけです。来年も創作活動は続けると思います。創作活動こそが僕の逃げ道であって、僕の悲しみや怒りなどの汚い感情の捌け口でもあるからです。


 来年は、自分の最も弱いところを曝け出すような作品を作ってみたいですね。僕は倫理という言葉とはかけ離れた人間なので、そういう汚らしいところを詰め込んだ、ハッピーセットならぬ、ダーティーセットをお届けしますので。


 寒い日が続きますが、体調にはどうかお気をつけてください。では。

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