第41話 そんなことにはなりませんけど
途中までは想定された動きだった。あんな張り紙があったら学校が騒ぎになることはわかっていた。それに
「そうだと思ってたんだよねぇ……」
「どうだろうね? あなたには教えない」
……珍しく好戦的だな。そこまで
「ふーん……」
それは僕も思う。僕のどこが良いのか、僕にはわからない。なんで
ともあれ……このまま
クラスの巨大グループがぶつかることは望んでいない。
僕は深呼吸を1つしてから、
すると
「行こう。相手にしなくていいよ」
これは僕のけじめだ。
僕はスマホを取り出して、とある文章を打ち込む。そしてその画面を
「なに……?」
いつかやらないといけなかったことだ。いつまでもチート扱いされるのは腹が立つし……なにより、大会には出たいと思っていた。今までは逃げていたけれど、これ以上逃げるのは嫌だった。
「ふーん……」
そうはならないだろう。オフラインでも同じような実力を見せることができたら、チートを使っていない証明になる。優勝だけが求められるわけじゃない。
だけれど……緊張でプレイがボロボロになってしまったりしては別だ。オンラインとオフラインの動きに違いがありすぎたらギルティ。完全にチートプレイが露見することになる。
まぁ……運営にアカウントを消されていない以上、ある程度はシロなんだけど。そんなことを
実力で黙らせるしかないのだ。
だからこそ自分を追い詰める必要がる。そうじゃないと意味がない。
僕はさらにスマホに文章を打ち込んで、
『優勝できなかったらチート扱いでいいですよ』その覚悟はとうにできている。『逆に優勝した場合は、チート疑惑を取り下げてください。そして、二度と僕たちに危害を加えないでください』
「自信がありそうだねぇ……オフラインでもチートってできるの?」
やろうと思えばできるだろうな。というかチートは本来オフラインで楽しむべきものだ。それでもルール違反だろうけど……オンラインでやるよりはマシだろう。
ともあれ……
『条件を飲んでくれるんですか? くれないんですか? どっちかハッキリしてください』
折角のチャンスなのだ。ここで
「ふぅん……大会って、なんの大会?」
『そうですね。じゃあ火種とかどうですか』
「火種……ああ、なんか聞いたことあるね」そいつは話が早い。「いいの? 国内最大級の大会でしょ?」
『だからこそ最大の証明になるでしょう?』
チートしなくても国内最強だと、せっかくだから示しておきたい。
というより……出場してみたかったのだ。国内最強を決める戦いに参加してみたかったのだ。
さてこの条件を
「いいよ」どうせ優勝できないと思っているんだろうな。「逆に優勝できなかったら、私は公認であなたたちに手を出せるってことだよね?」
『僕にならいいですよ』
どうせ僕は優勝するのだ。ゲームに関しては結構自信家なのだ。ライバルであるミラージュ897さんがいない今、誰と対戦したって負ける気はしない。
……
いや、嘘だ。自信なんてない。負ける可能性だってある。その可能性のほうが高いかもしれない。
チート野郎扱いされるかもしれない。これからの人生……これからの学校生活を
そうなってもいい。それでも、挑戦したいと思ってしまった。
まぁ、あれだ……
やるからには負けるつもりはない。
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