第30話 下手だよ
『まぁ感情がないってのは言い過ぎたけどね』それはそうだろう。感情がないわけがない。『でも、執着心が足りないってのは本当だよ。だからこそ、熱中することもできないのさ』
その
だが……
『それは悪いことではないですよ』
『同感だよ。なにかに執着することだけが良いことじゃない。執着しないからこそ、
浅く広く知っていることは素晴らしいことなのだ。1つのことだけを掘り下げるのが良いこととは限らない。
実際……僕みたいにバイト代がゲームで消えるのは良いこととは言えないだろう。それくらいなら物を買わずに、貯金したほうが良いという考え方もあるかもしれない。
まぁ……僕はそれでもゲームを買うけれど。他人にいくらムダと言われても、ゲームを辞めないけれど。
それくらい熱中できるものが
さて……まだ
『ちなみになんですけど……
『下手だよ』直球すぎる。『下手って言ってもマンガ的な下手さじゃないよ。ただ純粋に美味しくない。マズくはないけど』
マズくないから指摘もしにくいわけだ。
まぁ僕としては……マズくないなら良いのだけれど。そこまで味にこだわりはないので、吐き気を催さない限りは大丈夫だ。
「できたよー」二人分のカレーライスを持って
それは本当に安心した。僕は辛いのが苦手なのだ。辛口のカレーなんて食べたくない。
……そういうことは用意してもらう前に言うべきだったな。
今さらだが……こうやって部屋に誘うことも
さて
「重ね重ね、今日はありがとうね」よくお礼を言ってくれる人だ。「ゲームってのは楽しいもんだね。教えてくれる人が良かったのかな?」
『教わる人が良かったんですよ。素直に教わってくれたので、僕も楽しめました』
「じゃあ、私たちは相性が良いってことかな?」
『
まだ相性についてはわからない。だってお互いに気を使っている。
どこまで気を使って、どこまで本音で話していいのか。それらを関係性の中で推し量って言って……それからようやく相性というものは見えてくるのだ。
まだわからない。僕も
さて……とりあえず聞いておこう。
『申し訳ありませんが、食事中もスマホを使ってチャットをしても良いですか?』
「いいよ」
この提案をしておかなないと、僕は食事中に何も言えなくなってしまう。食事中のスマホは行儀が悪いと思う人もいるだろうから、許可が必要だったのだ。
それから手を合わせて早速食事をいただく。
……味は……うん。そういうこともある。大丈夫、食べられる食べられる。毒ではない。たまに吐きそうになるけど、表情に出すほどではない。
だからこそリアクションしづらいんだよな……これでリンゴがまるごと入ってるとかだったらネタになるのに……
……食事にはできる限り触れないようにして、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。