第20話 ここは面倒くさいSNSじゃないんだぜ
そのために行動したんじゃないのか。
青春を手に入れるために行動したんじゃないのか。
僕は
ならば渡りに船だ。
ここで受け入れてしまえば良い。簡単なことだ。このチャットで一言『はい』といえば済む話なのだ。
それだけで僕は青春と恋愛が手に入れられる。
最高の結果じゃないか。僕が行動したからこそ開けた道じゃないか。僕の過去が開いてくれた道じゃないか。
何も躊躇することなんてない。このまま受け入れてしまえば良いのだ。それだけでバラ色の青春を手に入れられるのだ。
だが……
『まだ答えられません』即答できるような問題じゃないだろう。『僕はまだ
僕としてはメリットしかないけれど。
たとえ最後にはこっぴどく振られるとしても、受け入れる。
だけれど……
『なるほど』断られたのも想定内って顔だな。『つまり、今からお互いのことを知ってけば可能性はあるってこと?』
『僕からしたら、願ってもない話ですよ』
『もう入ってると思うけどね』LOVEとLIKEは違うだろうに。『じゃあ、これから私たちがサポートするからさ。ちょっと、
心強くはないけどな。
それにしても……
『最初から、この辺が落とし所だったんですか?』
いきなり恋人なんて言っても受け入れられない。ならば友達から親しくなっていく。それが自然な流れかもしれない。
むしろ試されていた気がする。僕がこの話に即座に飛びつくような男なら、不合格点をもらった気がする。
『どうだろうね?』
『僕もそうかも知れませんよ?』
『だったらカップル成立だね』ここで成立してないのだから、お互いに本意ではないということ。『もちろん私を好きになってくれるのなら嬉しいさ。キミなら私だって受け入れる。でもね、私はもうちょっと強くなりたい。キミと恋人になったら甘えちゃいそうだ』
……僕が強いという前提が間違っているのだけれど……
『なんにせよ、同盟結成だね』
僕は
『もう少し質問をしていいですか?』
『どうぞ』
『恋人を作ることだけが、女性の幸せじゃないと思いますよ』
多様性だとか……そんな言葉は苦手だ。だけれど、恋人を作れば
『私はグローバルでダイバーシティでジェンダーフリーな男女平等な考えを提案してるつもりはないよ』横文字は苦手だ。
たしかにそうだ。これは僕の考えが浅かった。
今の話題は男女平等じゃない。
『
『直接聞いたことはないよ』じゃあダメじゃん。『でも、
『それは僕も聞きました』
『そうなの? じゃあ話が早い』早すぎても、ちょっと困るけど。『なにかに熱中というか、夢中になりたい。じゃあ、キミに夢中になればいい。恋愛に夢中というのもまた、1つの青春でしょ?』
そうかもしれない。スポーツや勉強に熱中するのと同じように、意中の相手を追いかけるのも悪くないだろう。
『そんで、
『僕がフラれる可能性は考えないんですか?』
『考えたよ。残念ながら私は性格が悪いのさ。もしもキミがフラれて傷ついたとしても、それで
『嘘ですね』即答できる。『
僕が告白したら、きっと彼女は真剣に考えてしまう。そして断ったら……彼女のほうが泣いてしまうかもしれない。そんな人だ。たぶん。
それを
『ちなみになんですけど、
『ないらしいよ』
『なぜでしょうね。
『アホだからじゃない?』毒舌かよ。『キミもある程度仲良くなれば気づくよ。
……
『疑問は解決したかな?』そう言って、
……同盟か。
そして僕としては……
なるほど……たしかに同盟だ。友だちになるわけじゃない。あくまでもお互いの利害が一致したというだけの関係。
それくらいのほうが気が楽というものだ。
同盟結成なことに異議はない。
問題は……
家族以外との握手なんてしたことないんだよなぁ……
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