第18話 鏡を見るのは苦手かい?
そんな事が僕にできるわけがない。
ともあれ……僕の意見を伝えなくては。僕がスマホを取り出すと、
「チャットで会話する? オッケー、ちょっとまってね」2人とも僕の考えを察してくれたようだった。「そうかそうか。
そんなに僕と
アドレスを交換して、さっそく
『やっほー』なんとも
『届いた?』これまた
『この3人だけのグループチャットね』チャットでもおしゃべりなのが
……そうなのか。まぁ
次に
『私は文字を打ち込むのが遅いから、そこは勘弁してほしい』
『了解しました』僕のやり方に付き合ってもらうのだから、そりゃ勘弁する。『ちなみに、ナンさんというのは?』
漢字がわからないので、カレーが似合いそうな表記になってしまった。
『
『すいません……』
『謝らなくていいよ。まぁ今日は
病気か……僕は意外にも健康体なので、ちょっと申し訳なく感じてしまう。
『
神……?
『
『なぜそんなあだ名に……』
『神っぽいからじゃない?』ボカロの名曲かよ。『もしかしたら人間じゃないのかもね。まぁ、なんでもいいけど』
本当に何者なんだろう。
『話がそれたね』たしかにそうかもしれない。『私のお願いは1つ。
……聞けば聞くほど荒唐無稽な話だな。
『他に候補がいると思いますが』
『そうかな。私は……簡単に頼んでるつもりはないよ』簡単に見えるけれど。『キミのことは、少し前から気になってた。強い人だって思ってた』
『失礼ながら見る目のない人ですね』
『キミもだよ。鏡を見るのは苦手かい?』
『得意だと思ってますよ』
鏡で自分を見ても、強い人間には見えない。毎日見ているけれど、ヘッポコで弱っちそうだ。
『キミは覚えてないようだけれど、私とキミは1年生のときも同じクラスだったんだよ』本当に覚えてないから申し訳ない。『私がキミに惚れた理由を、1つずつ解説してあげよう』
惚れたってのは勘違いする表現だな。要するに……合格点をつけてくれた要素ってことだろう。
しかし1年生のときか……まったく覚えてないな。本当に学校での人間関係なんて興味がなかったからな。クラスに誰がいて、誰がいないなんてのを気にしたことがなかった。
『まず最初に、キミは自分の機嫌を自分で取れる人なのさ』
『友達がいないだけですよ』
僕の機嫌を取ってくれる人間がいないだけである。
『人間関係がゼロってわけじゃないでしょ? キミはどんな状況でも、常に自分の中で自分をコントロールしてきた。不機嫌になって相手に当たり散らしたりしなかった』
『友達がいないだけですよ』
当たる相手がいないだけである。
『次に、キミは相手によって態度を変えない。確固たる自分があるよね。割と頑固というか……あと、打たれ強かったりする』
『打たれ弱いと思いますよ』
『見られたくないノートの中身を見られて、翌日に学校に行ける人は打たれ強いよ』そうかもしれない。『そういえば言うの遅くなったけど、昨日は助けてあげられなくてごめん。気づくのが遅れちゃって……』
『気にしてませんよ』助けてもらったら嬉しいけれど。『もしも
そうなれば、僕と
『今からでも遅くないよ?』
『本気にしちゃいますから、やめてください』
『歯が浮くようなセリフを言うんだね。
というか僕は……なんでこんなにチャットだと強気になるのだろうか。本来の僕はここまで饒舌なやつなのだろうか。純粋に言葉として発するのが苦手なだけなのだろうか。
そして……アレだな。プレイボーイな言動が一番効くのは、
……
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