第17話 幸せにできそうなのは
たしかに思ったことはある。
高校時代に……青春時代に恋人ができて幸せに暮らす。そんな叶わない想像をしたこともある。
だけれど諦めたはずだ。僕に恋なんて不相応。一般的で普通な青春を追い求めるには、僕にはなにかが足りない。きっと足りない。そう思ってきた。
……まぁ、その現状を変えるために立ち上がって雑巾を取ってきたんだけれど……
ここまで劇的に変わるなんて思ってなかった。
まったくもって脈略のない話だった。
「悪い話じゃないでしょ?
それは知っている。彼女が悪い人じゃないのなんか知っている。
でも僕は悪い人だ。下心で好きな人を助けに来るくらいには悪い人だ。そんな人間に、どうして突然?
困惑する僕に、黒髪ロングの
「
「あ……ごめん」
「それはなんとなくわかるけれど」
「それもそうだ」なんか良いコンビみたいだな。「さてキミ……1限目の授業をサボるという選択肢はある?」
ある。今この状況で授業なんて出ても集中できるわけがない。正直言うと……今の教室の空気の中にとどまるのが苦痛なのだ。それくらいなら、さっさと教室を出たほうが良いと思っている。
僕がうなずくと、
「ありがとう」
別に襲われる心配はしていないけれど。彼女たちからしたら、僕を襲うメリットはないだろうけれど。
なんにせよ、僕は美少女2人に連れられて体育館裏に移動した。
体育館裏には……当然ながら人はいなかった。授業中の教室の外が、こんなにも静かだとは知らなかった。
それにしても……体育館裏に美少女からの呼び出しか。憧れていた青春の1ページではあるけれど、告白なんていうシチュエーションじゃなさそうだ。
「さてと……」
「
そんなに自分を卑下しなくても良いだろうに……友達にあんな仕打ちをされたら、怒って当然だろう。
とりあえず……金髪短髪でメガネをかけた小柄な人が
そして黒髪長髪で背の高い人が
どちらも
このメンバーの中で饒舌なのは
「さっきも言ったけれど、
強制するつもりはないということか。まぁ……そりゃそうか。相性とかもあるもんな。
「今日を見てもらってもわかる通り……
……
「なんかふわふわしてる子だからさ……心配なんだよ」
「原因は私たちにあるのだけれどね」
「私たちが未熟ってことだね」笑顔に悔しさがにじみ出ている。「それでも……私たちはやり返したくなっちゃうの。弱いからね。その弱さを捨てない限り……
弱さではないと思うけれど。言い返してやり返せることも強さの1つだと思うけれど。
そして……信用されてないってこともないだろう。ただ……少し分野が違うだけ。やり返すことが重要な局面なら、
「
……そんなことはないと思うけれど。
このメンバーだと、いつも
「うちのクラスじゃ、キミでしょ。
……
なんとも過大評価されてしまったものだ。
僕が
……
そんなことができるわけがない。
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