第16話 恋人になっておくれよ
「ありがとう」机周辺の掃除を終えて、
優しいというより……思いっきり下心丸出しです。好きな人の役に立ちたいという欲にまみれてました。
「さて……」
そう言って、
さて僕も自分の席に戻るか……と思った矢先のことだ。
「ねぇ先生」
そりゃレモンの匂いもするだろうな。
当然……そんなものは建前だ。
「あ、ああ……席……」先生はやはり
「ここじゃなきゃ、どこでもいいよ」
なんで空席があるのだろう……そういえば今日は2人ほど欠席がいるので、その人の席だろうか。
なんて思っていると、
……僕の席じゃん……そういえばそうか。僕は今
「これ邪魔」
そう言って放り投げたのは、僕のカバンである。中身が入ってるんだけどなぁ……まぁ壊れるものがないから良いけれど。
机の中には……まだなにも入れてなかったはずだ。席替えしたばっかりだったので、あの席には愛着も何もない。
さてカバンを取りに行こうかと思って、立ち上がると……とある人物が僕のカバンを持ってきてくれた。
その人は……黒髪ロングの背の高い女子。
「ごめんなさい……相手をしてはいけない相手なのはわかってたのに……頭に血が上って……」
そこまで愛着のある席じゃないので、首を横に振って断る。
「そう……」低くて落ち着いた声だな……「本当に……ごめんなさい。私が挑発したから、事態が大きくなってしまった」
そんなことはないと思うが……
さらに、もう1人ほど美少女が僕に近づいて、
「私もごめんね。もっと穏便に止められたら良かったんだけどさ……」金髪の……メガネの女子だった。かなり小柄で……
「このお礼は、またいつかさせてもらうよ」お礼なんかいらないけれど。「ねぇ
「なに?
「私達は、まだまだ未熟だねぇ。すぐに相手をやり込めようと……攻撃的な手段に打って出ようとしてしまう」
「……そうね……
「だからこそ、助けてあげたいんだよね」何が言いたいのかと思っていると、金髪の……
……なんで僕のことを……?
今までの会話に僕を助けたくなる要素なんてあったかな……
「なかなかできないよ。あの空気の中で、雑巾持ってきて手伝ってくれるなんてさ。しかも淡々と、何も言い返さずに」言葉が出なかっただけなんだけど。「そんなことするの、
……ときどき会話に登場する
「私は……すぐに相手を言い負かそうとしちゃう。弱い犬ほどよく吠えるってのは、私のためにあるような言葉さ」吠える犬が強い場合もあるだろう。「キミみたいに強く優しくなるのは、なかなか難しいよ」
……なんだろう……褒められ慣れてないので、すごくモヤモヤする。強烈なお世辞にしか聞こえない。それは僕の心が歪んでいるからだろうか。
それにしても……なんだかアレだな。ギャルゲーでいうと……ルートが分岐した感じがある。僕が行動を起こしたことによって、急に美少女たちに詰め寄られている。
「そんなキミに、少しばかり頼みがある」
……
……
……
なんで?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。