【完結】実は有能ポーターだった僕、アホなリーダーの平手打ちでチートスキル【ツッコミ】に目覚めて世界最強に。美少女たちにもモテまくりで、トントン拍子に成り上がる。あとアホ冒険者たちは瞬殺ざまぁします
第五話 そのポーター、第三王女に実力を認められる
第五話 そのポーター、第三王女に実力を認められる
その場にいた全員の視線が僕へと降り注ぐ。
「何だ、てめえは!」
「俺たちがアーノルド一家と知ってんだろうな!」
「ぶち殺すぞ!」
アーノルド一家の男たちは僕に殺意を乗せながら威嚇してくる。
「ダメです、カンサイさま。あの者たちと関わってはいけません。いくらカンサイさまがお強いと言えどもあの者たちには……」
「大丈夫です」
僕はうろたえるローラさんを優しく遠ざけると、男たちに歩み寄った。
近づくとよくわかる。
男たちの誰もが罪悪感などこれっぽちも持っていない。
何をしても許されると勘違いしている。
それこそ、施設にいた力しか取り柄のなかった悪ガキたちのように。
「おいおい、まさかてめえも俺たちに混じりたいのか? だったら10万ルーダを持ってこい。そしたら俺たちのあとで楽しんでも構わないぜ」
「げへへへへ、まあそのときにはこいつの穴はガバガバになって使いもんにならなくなっているかもしれねえがな」
「くくく、違いねえ」
このとき、僕の中でブチッと何かが音を立てて切れた。
同時に頭の中に『ピンポーン』という音色のあとに不思議な声が聞こえてくる。
『アーノルド一家にツッコミを入れますか?』
このとき、僕は考えた。
こいつらに【ツッコミ】スキルを使えば、グレンさんやバトーさんのように簡単に吹き飛ばすことができるだろう。
しかし、それだけでいいのか?
僕は利き腕の右拳を固く握った。
目の前にいる男たちは本物のクズだ。
適当にあしらった程度ではすぐさま悪事を働くにきまっている。
だったら僕はどうすればいい?
決まっている。
『アーノルド一家にツッコミを入れますか?』
再び訊いてくる不思議な声。
その声に僕は堂々と答えた。
「こいつらに入れるのは僕の鉄拳だ!」
僕は総髪の男に疾駆すると、その顔に渾身の力を込めたパンチを繰り出した。
「ポーターパアアアアンチ!」
僕の右拳が総髪男の顔面に深くめり込み、総髪の男は折れた歯と血をまき散らせながら吹き飛んだ。
それでも僕の身体は留まることを知らない。
続いて僕は禿頭男の腹部に向かって蹴りを放った。
「ポーターキイイイック!」
ドズン、と音を立てて僕の蹴りが禿頭男の腹に突き刺さる。
「グハアッ!」
禿頭男は大量の唾液と血を吐き出しながら吹き飛ぶ。
その後、僕は残りの3人を同じ要領で半殺しにした。
どのぐらい経ったときだろう。
僕を中心にしんと静まり返っていた大通りの一角が、いきなり拍手喝采の津波が押し寄せたようにワッと盛り上がった。
「す、すげえ!」
「あのアーノルド一家をたった1人で倒しちまった!」
「マジかよ、あいつらはB級冒険者でも歯が立たなかった奴らだぞ!」
「一体、あの人は誰なんだ! 有名な冒険者か武芸者なのか!」
僕の耳に周囲からの拍手喝采や口笛が聞こえてくる。
助けた少女も僕に涙を流しながら「ありがとうございます」と感謝してくる。
どうやら少女もそうだが周囲の人間たちも、アーノルド一家の傍若無人振りには腹が立っていたのだろう。
組織の巨大さから真っ向から批判ができなかっただけなのだ。
それも当然だと僕は思う。
人間とは弱い生き物だ。
たとえ自分に正義があろうとも、相手のほうが強くて巨大なものならば立ち向かえなくなる。
でも、今の僕は違う。
【神のツッコミ】スキルとやらのおかげで、僕は巨悪にも立ち向かえるほどの力を手に入れた。
だったら、この力を弱者のために使おう。
それが神から与えられた僕の使命かもしれない。
と、思ったときだった。
「実にあっぱれ!」
突如、どこからか凛とした声が飛んでくる。
振り返ると、僕から数メートル離れた後方に白馬に乗った騎士がいた。
男の騎士ではない。
全体のフォルムからして女性だ。
「先ほどからそなたの行動を見させてもらった。いやあ、実に見事。まさしく感服いたした」
そう言うと騎士は顔全体を覆っていた兜を取った。
直後、周囲から驚きの声が沸き起こった。
「あ、あの方は第三王女のクラリス・フォン・グラハラムさまだ!」
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