第39話 筋肉痛

 彼女と一緒に昼食の弁当を食べ雑談していた休憩時間が終わっていた。彼女は1時間練習を見てから帰ると言ってた通りしばらく見たあと手を振りあってから帰って行った。野球少年達から囃し立てられて恥ずかしかったけど、嬉しい気持ちが勝った。だからといって「ウププ」と背がデカいの許さんからな。「ウププププ、ショートの彼女もショート」とか「コーチより背が大きい僕なら!」ってしつこいぞ!というか他の少年より良く練習付いて来るなぁ。

 監督いわく送球のモーションがはやい二人と「ウププ」と「背が」の4人が現在の内野手レギュラーなんだそうだ。「ウププ」がサードで「背が」がファースト。「背が」がファーストなのは左利きだけど僕と違い右で投げる事が不得意なままだかららしい。内野手はファースト以外左投げが不利だからねぇ。「ウププ」と「背が」は肩もそこそこ良いそうでたまにピッチャーもするらしい。「ウププ」コントロールと緩急つけるのが得意で嫌らしいとこを付いていくタイプ。「背が」は左投げだけど緩急が苦手で速い球で直球勝負するのでタイミング捕まれると打ち込まれてしまうタイプ。性格が球のクセに出てやがるなぁ!

 エースは別に居る。球速と球威はチーム随一。足が早くスタミナもある。だけどフライの捕球に難があるので外野手の練習に加わっている。ゴロ補給の腕を鈍らせないよう内野手の練習に加わる事もあると言ってたのでその時はしごくとしよう。


 夕方の陽が落ちる頃からグラウンドでの激しい練習はせず軽いランニングをしながらクールダウンさせたあと体を解す体操をして解散した。最後まで練習に付き合ったけど身体が鈍ってるしスタミナが落ちているしで終盤辛かった。ノックの間の素振りじゃなくノックする側だったのも結構体力を削られた要因だったけど。まぁシートバッティングの間は休めたからトントンかな?手本を見せてやれと言われて監督のノックで守備練習やらされたのは疲れたけどね。それも少し鈍ってたなぁ・・・。通学前に朝のランニングでもしようかな。


 翌日の日曜日、アサカワの家で勉強会だったけど筋肉痛で結構辛かった。集中力も乱れて先週より進まなかったな。それでも今やってる授業までの穴埋めは終わった感じだ。来週は普通の復習と肉付けしていく感じかな。


 アサカワの家はすごかったよ。タワマンの上層階だったし。両親の持ちビルのワンフロア借りて改装して住んでいるんだと。自宅じゃなくて両親いないから心配無いわけね。

 両親は揃って海外に住んでいるらしい。海外留学中の弟に着いていってるそうだ。アサカワがスマホで連絡しまくってる相手って友達よりも離れて暮す家族がメインなもなのかもな。

 弟が海外に居る理由は婚約者がそっちの人で、両親が着いていってるのもそれが理由らしい。

 アサカワにも婚約者が居るのか聞いたら居るらしい。このタワマンに住んでいるのもそれが理由らしい。なんか金持ちの世界は良くわからんな。


 迎えに来たのは専属の家政婦兼運転手というスラっとした30歳ぐらいの綺麗な女性。こういう人って護衛も兼ねてるのかな。


 ビルはパスが無いと入れないしエレベーターも動かない。非常用の階段で登る事はできるんだろうけど、不審な人が入って非常階段の方に向かえばロビーに居る人に呼び止められて通報されるだけ、セキュリティはかなり厳重そうだった。


 夕飯までご馳走になって朝迎えに来て貰った彼女の家の近くの公園に車で送って貰ったよ。彼女に軽くキスをして筋肉痛の体を引きずって家まで素直に帰りましたよ。だから押し倒すとかそういうのはありませんとも。

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