第38話 彼女の陣中見舞
お昼時間が近づいた時に彼女が小学校のグラウンドに現れた。手には弁当を持っているので卜の弁当なんだろう。お袋がお昼時間に持ってくると言ってたけどどういう事?
「どうしたの?今から休憩時間だよ?」
「お弁当作ってきたの」
「お袋が持ってきちゃうけど」
「お母様に頼まれたの」
「えっ?連絡先知ってたの?」
「うん!交換してたよ」
彼女とお袋は連絡先を交換していたらしい。いつの間にって感じだけど。
「あれ?誰かの妹か?」
「はじめまして」
「僕の彼女です!」
「はぁ?小学生は犯罪だぞ!」
「アイ君の同級生です」
「高校生ですよ」
「嘘だろ!」
「嘘じゃないです・・・」
「生徒手帳持ってるなら出して」
「マジかよ!」
確かに140センチ無い彼女は小学校4年生より低い。でも女性特有の丸みというか色気というかあるでしょ?そういうの?感じない?「誰?」とか「コーチの彼女だって」は分かるけど「僕より小さいのに」は酷いぞ!午後に千本ノックしてやるぞ!ショートバウンド多めの嫌がらせノックするぞ?
「あれ?昔たまに試合見に来てた子じゃないか?メガネかけたのか?」
「昔来てました」
「監督知ってるんですか?」
「あぁ練習試合を親御さん以外が見に来る事は珍しいから覚えていたよ。誰かの妹が1人で来てるってな。お前の彼女だったのか・・・」
「アイ君を見に来てました」
「最近再会して付きしだしたの最近ですが」
「長年の想いが届いたって奴か!いいねぇ!」
「はい!」
「告白したの僕からですけどね」
「あぁ・・・いつも見に来る子が気になったって奴か?いいねぇ!」
「アイ君私が見に来てる事に気が付いてませんでした」
「中学校別々だったんですよ」
「どういう事だ?」
僕は彼女と再会するまでの簡単な経緯を話した。それから監督の教えを元に懸命に勉強して合格した事や、告白して了承して貰った事も。
「ていうと何か?彼女は小学校の時から好きだった相手で、中学校別々だったけどたまたま再会して、死物狂いで勉強して同じ高校に入って、そこで告白したら彼女もお前の事を小学校の時から好きだったという訳か?」
「そんな感じです」
「出来過ぎだろ!!」
「でも実際そうですから」
「それに俺の教えで受験勉強って、俺は野球しか教えてねぇぞ?」
「でも実際にこうやって成績をあげて合格しましたから」
「それはお前の努力だろう」
「努力出来たのは監督の指導のお陰だと思うんです」
「そうかぁ?」
「はい」
彼女が尊敬する目で監督を見出している。そうそうこの人スゴいんですよ?
「お前が俺にアイコウの事で相談に来たのにそんな背景があったとはなぁ」
「えぇそんな背景があったんです」
「なるほどなぁ」
監督は呆れながらも僕たちの事を祝福してくれた。僕は「ありがとうございます」と感謝を伝えたけど彼女も同じ様に「ありがとうございます」と言っていた。彼女が監督に感謝するような話あったっけ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます