第40話 野球バカ
ゴールデンウィークは近隣のチームと連日練習試合。名門チームとなった我らが少年野球チームには練習試合の申し込みが多いらしい。
午前1試合で午後1試合。相手が来てくれるので遠征費用がかからず助かっているらしい。
レギュラーメンバー中心だけど控えの選手も使って毎日2試合行っていく。5年生以上は1日に1回は全員に出場の機会を持たせるのが監督のやり方らしい。息子の活躍を見に来る親も居るんだしね。
彼女が毎日お弁当を持ってきてくれたので助かったよ。両親は彼女に丸投げするつもりなのかな?彼女が嬉しそうに見に来るから良いけれど。僕も彼女も周囲からチームメイトとその妹に見えるようで違和感を持たれない。保護者の方から仲の良い御兄妹でって言われちゃったし。僕ずっと主審してたんだけど変に思わないのかな?同じデザインのユニホーム着ているけどさ。
選球を鍛えられたのでストライクとボールは間違えないよ。敵味方の贔屓もしない。あくまでフェアプレーでね。クロスプレーの怪しい時はむしろ味方に不利なジャッジをしたかな。練習試合で無理なプレーはするなという警告も含めてね。本番では無い試合で怪我するようなプレーはダメだよ、真剣なのはいいことだけどさ。あとでフォローしないとな。
選手の時は真剣にプレーして勝つぞという気持ちが強かったけど、コーチの立場になると楽しみながらプレーして怪我はしないでくれって思っちゃうな。監督に言ったら「お前は親か!?」と笑われた。注意はされなかったので間違っては居ないんだろう。もっとハングリーに鍛え強くしようとする指導者は多そうだしね。
監督は厳しかったけど、試合は真剣にやれよ、でも楽しめよっていうタイプだった。だから両方なのかな。野球バカっぽいしな。
監督は地元実業団チームでプレーしていた選手だったらしい。年齢と怪我で引退後は、企業の嘱託員として平日の午前中に実業団のコーチをして、放課後の時間と休日に少年野球チームの監督をしている。まさに野球漬けの人生という訳だ。ちなみに奥さんは超美人だ。実業団のスポンサー企業の社長秘書らしい。選手時代からの付き合いで「今はヒモみたいなもんだ!」というのが監督が良く言う言葉。実業団のコーチをしていられるのも少年野球の監督を続けられるのも奥さんの支えあっての事なのだろう。でも奥さんは大事な試合の時は見に来てたし、練習後の監督と一緒に帰っていたりする。
奥さんは野球に一直線な監督がとても好きなんだろうなと思う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます