第36話 次回の勉強会会場

 少年野球チームのコーチになった事は両親と部活メンバーにはすぐに伝えた。勿論彼女には真っ先に伝えた。

 彼女は驚きと共に見に行くと言っていた。練習しているだけだし炎天下で見続けるのは色々良くないと思うのでずっとでなければ良いよと返事をした。

 両親は喜んでくれた。僕が野球を好きなのに離れて行くのを見ているしか無いのを見ているのは辛かったらしい。それでも別の道で楽しいことを見つけられるならと思っている所は野球しか教えられないと言う監督と違う部分だと思う。

 アオシマは「お前野球やってたの?」でアサカワは「野球?何で?」と僕と野球チームのコーチの存在に違和感しか感じないらしい。チビだからね。

 ワタナベ先輩は「了解?」というスマホのメッセージでも相変わらず疑問形だった。その辺アサカワはメッセージだと語尾が普通なのでキャラに一貫性が無い。まあ本人は語尾を可愛くしようとしてああいう語尾になってる訳じゃないみたいだしね。彼女より天然なんだよなアサカワって。


 あと彼女からアサカワに勉強会をした事が伝わったらしく「ウチも混ぜなんて酷くない?」と抗議のメッセージが飛んできた。もう彼女と自宅で2人っきりでは歯止めがかかる気がしていなかったので渡りに舟だと思っていた。だからアサカワが参加しくれるのはとても有り難かった。


「勉強会参加するのは良いけど僕の部屋は狭いから増員できないぞ」

「狭いならウチん家でやれば良いし」

「家が遠いなら簡単に行けないぞ」

「迎えを送るし」

「迎えって?」

「車でいくし」

「家族に迷惑かからないか?」

「関係ないし」

「じゃあ頼む」

「任せろだし」


 という訳で日曜日はアサカワの家で勉強会をする事になった。というか語尾が普通だと思ってけど連続でやり取りすると語尾が普通じゃ無いな。対面ではなしてると「しぃ」になって可愛くなるからそれが無いだけでまともと思ってしまったよ。


 彼女にもそれを伝えたら既にアサカワからメッセージが送られていて知っていた。殆どタイムラグ無しで彼女にメッセージ送ったのに何でアサカワから彼女に既にメッセージ届いているの?同時通話でもしてたんかね。


 日曜日に別の家で勉強会する事を両親に伝えた。


「相手様の家に行くなら挨拶しに行かないとな」

「彼女の家じゃ無いよ」

「男友達の家?」

「女友達の家だけど」

「おまっ!彼女いるのに別の女の家に行くのか!?」

「お母さんそれは良くないと思うな・・・」

「彼女も一緒に行くけど?」

「さんぴ・・・それはうら・・・許さんぞ!!」

「あら?お嫁さんが2人になるのかしら?」

「僕の部屋だと3人は狭いからそれならウチん家でやれば良いって言われてさ」

「広いベッドでさんぴ・・・そんなことは俺がさせないぞ!」

「私達の部屋使っても良いのよ?」

「普通に勉強するだけだよ?」

「キスして押し倒したくせに?」

「あなたは黙ってて」

「はい・・・」

「・・・」


 という訳で了承された。多分。

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