第33話 狼犬
寿司を食べ終え彼女を家に送っていった。
「お世話になりました!」
「いつでも来てね」
「うちではいつでもシテも良いからな!」
「はい!」
「だからそのグーをヤメロ!」
というやり取りが玄関であったけど、大丈夫だろうか?
手を繋いでいる彼女がとても元気だ。
「足元暗くなってるから気を付けてね」
「うん!」
「いつでも来てね」の「はい!」なのか「シテ良い」の「はい!」なのかタイミング的に判断が付かない。何かモヤモヤしていたのでとてもスッキリしたかった。
「楽しかった!」
「それは良かったよ、でも今日は勉強してたんだよ?」
「あっ!忘れてた!」
「勉強忘れちゃダメでしょ!」
「内容は覚えて居るよ」
「僕は忘れてしまったかもしれないよ・・・」
「そしたらまた付き合うよ」
「お願い・・・」
彼女を公園まで送っていきそこで素直に別れた。
送り狼にはなりたくは無かった、押し倒してしまったし既に半分襲ったようなものだけど今は紳士でいようと思った。もしあそこで両親が侵入してきて他所の娘さんになにしてけつかんねん!と言われても抵抗出来ずにごめんなさいしてた状態だ。
狼じゃなくても狼犬ぐらいにはなってしまっているよな・・・。
キスぐらいした方が良いのかなとも思ったけどやめた。今の僕は肉欲的になっていて今の彼女にキスを出来るような自分には思えなかった。スキップ気味に速足で家の方に駆けて行く彼女を名残り惜しく思いながら見送った。
家までの帰り道は少し遠回りしながら走って帰った。
本気で走ると数分で着いてしまうからね・・・もっと走りたい気分だったんだ。
叫べる場所があるなら叫んでいたかもな。もう暗くなってたし叫んだら赤色灯の車両が来ちゃうかもしれないからね。
家に帰ると両親はリビングに居なかった。えっ?この時間からシテるの?早くない?
僕は悶々とした気持ちで風呂に入るとそのまま自室に行きパソコンを立ち上げて秘密のフォルダのロックを解除しようとしてそこでやめた。部屋に彼女の残り香があったからだ。それだけで自分のものが苦しいぐらいいきり立ち下着を押し上げていた。キスをし押し倒した時の顔が彼女の顔が脳内に張り付いていて萎える事は無かった。僕はそれだけで何度も何度も今までに無いぐらいのその迸りを吐き出し続けた。スマホの画面から彼女からメッセージが入っている通知が見えていたけれど、それも僕の猛りを強くさせるものになっていた。
僕が落ち着き、もう一度風呂場に入って冷たいシャワーを浴びて彼女のメッセージを開けた時にはメッセージの届いた時間から2時間も時間が経っていた。
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