第25話 勉強会の約束
彼女との交際は順調だ。アサカワの過干渉はあるけれどそれも良いスパイスだと思う。ギターはなかなか上達しないけどこういう繰り返しを続ける事は、小中の野球で素振り、ベースランニング、走り込み、キャッチボール、ノック、選球やバントの訓練、ボール磨き、グラウンドの整備など、何度もやってきた事だ。それに応援してくれる彼女が近くに居るんだ。楽しく感じてしまうぐらいだ。
その点学校の勉強についていくのは大変だ。僕には中学校の時に比べて駆け足の様に進んで居る様に感じる。彼女に聞いてみたら大変だけど大丈夫そうな反応が返って来た。だから僕は一緒に休日は勉強しないかお願いした。彼女は快く了解してくれた。
終末に活動する部活はあるけれど、イベントが近く無い限りは平日の放課後に自主参加が原則らしい。イベントというのはライブや夏合宿や文化祭や創業者祭の前ぐらいらしい。ちなみに創立者祭は6月にあるので僕のギターの出来次第で出番が変わる。アサカワは無難にベースをどんどん上達させているらしく問題なのは僕だけなのだ。
けれど「焦りは禁物?」とワタナベ先輩に言われた。「腱鞘炎や指の怪我などで練習が続けられなる?」や「休む事も練習?」らしい。何でこの人はいつも疑問形?だと思うけれど納得の説明なので長時間集中してやり過ぎないようにしている。だから休日は彼女と過ごす時間として過ごすつもりで居る。
勉強する場所はどうするかという事なのだが、選択肢はいくつかあった。
学校は休日に図書館を生徒に開放していた。図書委員や文化研究会などが活動の場としているのが理由らしいけれど、僕は中学校時代の経験からしてとても集中出来る場所というのは知っていた。
市営の図書館という手もあったが取り合えず却下した。駅の方から少し歩く必要があって通うのに時間とお金がかかり続けると思ったからだ。たまになら良いと思うけれど、お小遣いでやり繰りしている僕にはこの負担は大きい。学校までの行き返りの分はお袋から貰えているのだけれど、それ以上かかっているスマホ決裁の代金を見つけたらお小遣いから減らすとお袋から言われて居るのだ。バイトも考えた方が良いかな・・・。
僕や彼女の家という案があるけどこれは少し勇気が要りそうだ。お袋からは招きなさいと言われて居るので大丈夫だと思うけれど、両親が色々構い過ぎて勉強に集中出来ない可能性もある。それに自宅に彼女を呼ぶなんて・・・そんな・・・良いじゃない。
取り合えず僕は家族も歓迎しているし僕の家でやらないか言った。決してヤラないかという意味ではない。それに両親が居るなら滅多な事は出来ないので大丈夫だと思う。僕もあの親父の息子だと思うと暴走するかもしれないしね。
彼女の家はまだ訪ねて居ない。両親が仲良さげなので許してくれる気がするし、彼女のお母さまから節度あると言われて居るので大丈夫だと思うけれど、毎回の様に自宅デートだと、この甲斐性無しめ!娘には相応しくない!と思われないか不安だ。
本気でバイト考えようかな・・・。
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