第22話 2人での通学
僕と彼女の交際が始まった翌日、彼女の家の近くのバス停で彼女と待ち合わせた。
「おはよう」
「おはよう」
こんなあたり前の毎日が嬉しい。
「アサカワのメッセージは大丈夫だった?」
「メッセージ送っても既読も付かなかったから心配したらしいよ」
「スマホ忘れて出かけてしまったとか、あるだろうに」
「出かけてて気が付かなかったって返事して一応納得してくれたのかな?」
「一応?」
「会ってから確認するって」
「何を確認するんだろう?」
「分からない・・・」
アサカワの会話だけで朝の貴重な時間を費やすのは勿体ない。だから話題を変えた。
「両親にアカホリさんと付き合いだしたの気が付かれてしまったよ」
「えっ、どうして」
「指輪で気が付かれて誘導尋問された感じ」
「そ・・・それで私の事はなんて言ってるの?」
「親父からはさすが俺の息子だって言われたよ」
「えっ?」
「お袋は朝食に赤飯炊いたよ」
「お赤飯・・・」
「朝食の時、親父に言われたのが、避妊には気をつかいなさいだ」
「早いよっ!」
「お袋からは、今度家に連れて来なさいだって」
「わわっ!どうしよう!何を持っていけば良いんだろう」
「別にその辺の石と草で良いよ」
「そんな適当な・・・」
「最後にお袋に言われたのが、孫の顔が早く見たいわだった」
「は・・・早いと思うよ?」
「お袋は元スプリンターだからなぁ」
「関係あるの!?」
「親父はどちらかというと中長距離選手だったらしいけどね・・・」
「だから慎重派?」
「お袋を高校生で妊娠させといて?」
「どっちもスプリンターだよっ!」
「どちらかというとだからなぁ・・・」
親父はインターハイへは中距離で出場したけれど、県大会では短距離や投擲競技も出ている。長距離とも言われる3000mに出場した事もあってそれなりのいい成績を残しているらしい。所謂オールマイティな選手だったんだろう。今ではただの公務員だけどね。
そんな会話をしながらバスを待ち乗り込んだ。バスは混み合って居るので会話は遠慮したけど手摺に掴まっていない方の手は繋いでいた。
そんな風に学校までの時間を楽しく過ごした。ちなみに学校前のバス停から教室までの会話から彼女も母親に気が付かれたという話になった。節度を持った付き合いなら好きにしなさいって言われたそうで、うちの両親とは違う反応だったみたいだけどね。
教室に入るといつものようにアサカワが彼女に抱きつき匂いを嗅ぐ。うんうんホッコリする光景だ。
だが今日はアサカワが急に顔をあげ変な事を言い出した。
「アカっちの匂いがいつもと違うぅ!」
こいつは何をいってるんだ?
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