第19話 大きなケース
指輪の刻印待ちの間、ディスカウントショップの近くにあったファーストフードで軽く食べながら駄弁った、そのあとゲーセンのUFOキャッチャーとメダルコーナーで予定の時間まで遊んだ。
ファーストフードで駄弁り続ける事は出来たと思うけど、来客が多くなり待ち時間の列が出来て来たので出る事にした。こういった状態を平然と駄弁り続ける人が居たけれど、こういった人の気持ちが僕には分からない。ただ座って休憩するだけなら駅前の公園や噴水広場やアーケード街にベンチだってある。今日は天候が悪いわけではない、清潔なトイレが近くにあって空調が利いてと快適かもしれないけれど、それなら家に帰って休めば良いのにと思ってしまう。
ゲームセンターでは警備員からお父さんやお母さんはいるのと優しく目線を合わせて聞かれてしまった。生徒手帳を見せて高校生だと理解してもらった。最近は無かったけど少しショックだ。彼女の方が僕より幼く見えるからだろうか。こんな怖い所に連れて来る悪い兄だと思われたのだろうか。こういった人が見回ってくれるのは安心な証拠なので、お仕事ご苦労様ですと挨拶したら笑顔を見せて帰ってくれた。けれど最初はすごい不思議な顔をされ何度も何度も年齢を聞かれた。確かに僕は150cm無いし彼女も140cm無い、けれどそこまで童顔という訳じゃないんだぞ、下の毛だって生えて居るんだ、モノもそれなりのサイズでズル剥けだぞ?見るか?
僕達ずっとこんな感じに子供に間違われるのかな。バスでも電車でも映画館でも子供料金で通用するんじないかという悪魔が囁く事はある。したことないけどね。でも実際に子供料金というのが大人の半分の体重だから安いですよという事なら、僕も彼女も大人の半分ぐらいの体重というのはあながち間違っていない。僕の体重は50キロも無いし彼女はもっと軽いと思う。あのアオシマとバスに乗って同じだけ負担かけてますよと言われたら、それはないとハッキリ言えるだろう。
指輪の刻印完了予定と言われた時間が来たのでディスカウントショップに行き、引き換え証と交換した。小さなパかッと開けられる小箱に入ててくれていたけれど、きちんとしたケースを別に贈っても良いかも、これを記念の指輪だけでいっぱいにするのは死ぬまでかかっても無理だよね、という意味を込めて100個ぐらい並べられるスーツケースみたいな奴をさ。
いや誕生日、クリスマス、ホワイトデー、結婚記念日と年に数回あるイベントで送り続けたらすぐに埋まるのか?女性によっては月命日みたく記念日のプレゼントを要求してくる事もあると聞くし1000個ぐらい並べられそうな旅行カバンサイズが必要なのか?
戦々恐々として彼女を見ると「なに?」という様な不思議そうな顔を返してきた。
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