第18話 サイズの問題

 彼女と2人でディスカウントショップの一角にあるアクセサリーコーナー行くと色々見て回った。

 金やプラチナの指輪は専門店で無くてそれなりの値段がしてしまう。けれどそれはちゃんと働き出して指輪も自分のお金で買えるようになってから買いたいと思っていた。だから買うのは今日を記念し隣で歩き続けると祈るための指輪。だから安くても形だけは残したいと思った。


「これなんてどう?」

「へぇ・・・綺麗だね・・・タングステンリングっていうんだ」

「フィラメントの材料だね」

「フィラメントって電球の?」

「熱に強いから電気を通しても溶けないんだって」

「へぇ」

「固いから万年筆の先にも使われるんだって」

「詳しいね」

「推理小説の受け売りだけどね」

「そんなに高くないし良いかも」

「うんっ」

「デザインどれが良い?」

「これの色違いが良いかも」

「へぇ・・・赤と青の線が入った綺麗な奴だね」

「うん」


 店員に声をかけて指のサイズを見てもらう。

 僕の指は野球で使い続けた影響か太さは普通にある。彼女の指は短いけど肉が詰まってプクプクした感じなのでそこまで細くないみたい。だから僕のは普通に、彼女はギリギリサイズが合うものがあるそうだ。預けておけば文字を刻んでくれるそうなのでお願いした。

 僕のリングは青い線の奴で、彼女を表すMISAKI.Aと今日の日付を刻むよう頼んだ。

 彼女のリングは赤い線の奴で、僕を表すHAJIME.Aと今日の日付と刻むよう頼んだ。


 校則で学校ではアクセサリー類は身に付けられないので、普段は家に置いておき、2人で出かける時に身に付ける感じになるだろう。それでも固くて熱にも強い指輪なら僕達の間に残り続けてくれるだろう。


 彼女が靴を見に行きたいと行ったのでシューズコーナーにも行った。僕と彼女の共通の悩みなのだが僕たちに合うサイズの靴というのは探すのがとても大変だ。僕の足のサイズが23cm、彼女の足のサイズが21cm、殆どの靴売り場に置いていない。学校で指定された上履きや体育館シューズにサイズが無かったので、小学校指定の店で買った奴を履いている。この店でも子供サイズのコーナーで大人が履いても支障が無いデザインの靴を探すという感じなのだ。


「あった?」

「ないねぇ」

「仕方ないよねぇ」

「仕方ない」

「今履いてるのは何処で買ったの?」

「ネット通販」

「同じだね」

「たまにサイズが合わないんだよねぇ」

「あるあるだねぇ」


 地面から出ている杭は打たれるけれど、地面より引っ込んでいる杭は上から土を被せられ埋められるんだ。大量生産品である製品だろうし需要と供給のバランスで作られないのは分かるけど、体格が子供のような大人というのは左利きの人と同程度は不便な事があると思う。大きいサイズのコーナーはあるのに小さなサイズのコーナーはない。サイズを言うと子供用コーナーを案内されるだけなのだ。

 実際僕は左利きだけど小さい頃に文字は右手で使えるように矯正されている。利き腕は頑張れば矯正出来るという事なんだろうけど、左の方が器用なのでハサミなどは左利き用の方が使いやすい。まだ矯正したり使いづらい程度なら良いけれど、手足が小さいせいで子供用の靴しか履けないというのはどう矯正したらいいんだ?

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