第14話 告白の答え
ワタナベ先輩に教えて貰った楽器専門店は、駅前の停留所よりも1つ前の停留所の方が近い、けれど近くにファーストフードなどこの時間でも開いている店の心当たりが無かったので駅前で降りた。運賃の区間が同じなので多く払う訳じゃないしね。考え方がケチ臭い?仕方ないでしょ?小遣いでやり繰りしてるんだから。
僕も彼女も朝食は食べて来ていたのでファミレスに入り山盛りポテトとドリンクバーを注文した。
向かい合わせじゃないとさすがに違和感があると思ったので残念ながら手を離し座った。
僕はホットコーヒーのブラックで彼女はアイスミルクティーをカップに注いで席に戻った。
「今日はギターを買うつもりなの?」
「ううん、3万円ぐらいしか持って無いから見て気に入ったら取り置きして貰う感じかな。」
「先輩は2万円ぐらいからあるって言ってたよ」
「安いものはそれなりであることが多いらしいから色々比べて選んだ方が良いみたいだよ、ワタナベ先輩も「フィーリング?」って言ってたし」
「あはは、今の質問調なのワタナベ先輩のモノマネ?」
「あの先輩何で質問の答えでも疑問形で返すんだろう」
「でも親切に教えてくれるしいい先輩だよ」
「そうだねぇ」
「それにスゴい美人だし」
「うーん?」
これはどう答えたら良いんだ?同意が多いほうがいい気がするけど好きな人に対し他の女性を褒めるのはどうなんだ?僕が思い悩んでいると丁度ポテトが来てくれて話を違和感無く中断させる事が出来た。
二本ほどポテトを食べてドリンクを飲むと彼女が別の話を始めた
「フォーアって名前良く思いついたね」
「アカホリさんがアフォーアフォーって繰り返し言ってたからだよ」
「えっ・・・あっそうだね、続けると、フォーアって言ってるのと同じだ」
「気がついて居なかったの!?」
彼女は時々ボケをかます。
アオシマが居ないと僕がツッコミ役にならざるを得ない。
「それでね、アサちゃんがね・・・」
「うん・・・」
「この前の体育の授業でね・・・」
「うん・・・。」
「お母さんがさ・・・」
「うん・・・。」
彼女がコロコロ笑いながら話をしてくれる。
幸せ過ぎて溶けてしまいそうになる。
「ねぇ・・・聞いてる?」
「うん・・・」
「今何を考えているの?」
「うん・・・幸せだなって考えてる・・・」
「・・・もしかしてあの日の答え・・・聞きたい?」
「うん・・・」
彼女の顔は少しだけ困り顔だった。
そうか・・・僕はフラレるのか・・・。
「いいよ・・・」
「うん・・・えっ?」
「いいよ?・・・つきあう・・・」
「えっ・・・うん・・・ありがとう・・・」
「・・・どういたしまして・・・」
「うん・・・」
どうやら僕は彼女と付き合えるらしい、嬉しいいのに何故か涙が溢れ視界が霞んできてしまった。
「泣かないでよ・・・」
「うん・・・」
「どうして泣くの・・・?」
「あの・・・ほ・・・んや・・で・・・さいか・・いした・・・ひから・・・ずっと・・・この日を・・・めざ・・・して・・・」
「わかったからもういいよ」
「うん・・・」
「頑張ってくれて・・・ありがとう・・・」
「うん・・・」
彼女は真っ赤な顔をして横を見ていた。
通りかかった店員が僕の状態を見てギョッとした顔をしていた。背後のキッチン方向に足早に通り過ぎていく店員の足音が聞こえた。
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