第17話 LINEの交換(女子視点)
〜美優視点〜
時は遡り、現在は先生たちのチェックを受けて、その後の話である。
私たちは寝巻きに着替え、寝る準備をしていた。
女子が2人でする話と言えば…? そう! 恋バナでしょ! (彩葉ちゃん論)
と言うわけで、私たちは歯磨きをしながら恋バナをする事に。
「美優ちゃんは好きな人いるの???」
彩葉ちゃんは遠慮無しに聞いてくる。
「いないよー」
すっかり意気投合したからか、すごく普通に話すことができる。
私の人生の中でこんなに気軽に話せるようになる女子が現れるなんて、本当に私自身も驚きである。
「うそだー。じゃあ気になる人は?」
「いないのかな? そもそもね、私、好きって感情が分からないんだよね」
彩葉ちゃんは申し訳なさそうな顔をして、
「そっか…、ごめんね」
「ううん。ねぇ、好きって感情ってどんな状態の事なの??」
「そうだなぁ。私が思う好きはね、一緒にいて楽しいとか、もっと一緒にいたい!って思える人のことかな!」
少し間を置いて彩葉ちゃんが話す。
そんな人居ないかな? でも、さっきのLINEでの会話は少し楽しかったな…。これは好きって気持ちなのかな?
「思い浮かぶ人いる?」
「うーん、いないね」
「そっか…。彩葉ちゃんはいるの??」
「わたしはねぇ……。いない!」
「いないんかい!」
私は思わず突っ込んでしまった。普段はこんなこと出来ないはずのに、この人と居ると楽しい。
この時とんでもないことに私は気づく。
「美優ちゃんノリいいね! 普段からそうしてれば絶対友達増えるよ!」
もしかして私、彩葉ちゃんのこと好きなんじゃ!?
「ん、美優ちゃん?」
だってさっき彩葉ちゃんが言ってた条件にもしっかり当てはまるし!?
「美優ちゃーん」
そうなのね。
これが好きって感情なのね。
と、私の中で納得し、
「私、彩葉ちゃんが好き!」
私は彩葉ちゃんに言う。
「え、いきなりなに!? でも、嬉しい!」
彩葉ちゃんは笑顔でバンザイして喜んでいる。
「私も美優ちゃん好きだよー!」
「やったー! ありがとう!」
「こちらこそ!」
歯磨きを終えた私達は手を取りあって、笑い合ったのだった。
※
それから、電気を消してベットに寝そべり、彩葉ちゃんは普通にスマホを開く。一方、私はまだスマホを開けずにいた。
———私は本当にこんなことをしていいのだろうか。今まで学校のルールには1度も逆らわずに頑張って来た。こんなことで破ってしまっていいのだろうか…。
そんな事を思っていると、
「美優ちゃん、この青春は1度っきりだよ? 今を全力で楽しまないと!」
まるで私の考えている事を見透かしているかのように、言ってくる。
好きな彩葉ちゃんがいうのだから、きっとそうした方がいいのだろう。
「彩葉ちゃんがそう言うのなら!」
私はスマホを開く。この時初めて、私は学校のルールを破ったのだった。
それから、
いろは「なんの話する?」
と、彩葉ちゃんが横でメッセージを送る。
すると、数秒で
Souta「そうだな、修学旅行っぽい話しないか?」
「まさか、女子と恋バナでもする気なのかな?」
彩葉ちゃんが輝星くんのメッセージに対して、私に呟く。
「違うでしょー」
「じゃあ、なんの話なんだろ? 聞いてみよ」
そう言って、彩葉ちゃんは文字を打っているようだ。
いろは「なにそれ?」
「これでいいや」
そう言って、2人で笑い合う。
Souta「なんだろな?」
その返信を見て、私達は目を見合わせる。そうして、また、笑い合う。
いろは「なんなのそれw」
「みんな追加しとこーっと」
そうして、少し会話が途切れる。
彩葉ちゃんはみんなと個人チャットしているようだ。
ピロリン
と、私のスマホが音を立てる。
「誰だろー?」
そう呟き、メッセージを開くと、
そー(蒼)「クラスメイトの鳴釜です。美優さん、これからよろしく!!」
と、言うメッセージが届いていた。
(鳴釜くんからだ。それにしても下の名前? あ、そうか。友達になったらみんな下の名前で呼ぶんだっけ? だからか!)
と、全く的外れな解釈をし、
Miyu「改めまして、三日月 美優です。よろしくね! 下の名前で呼んでくれるの!? ありがとう! じゃあ、私も下の名前で呼ぶね!」
これでよしっと。
そうして、送信する。少し時間をおいて、
そー(蒼)「うん! 美優さん、ありがとう!」
(この短文打つのにすごい時間かかってるな?)
そんな事を思っていると、次の文章が送られて来ていた。
そー(蒼)「そう言えば、僕たちが出会ったのもここじゃん? あれからどうなったの?」
あれからと言うのは、私がここの従業員をしていた事の頃を言っているのだろう。
(これだけじゃ分かりにくいよ!)
なんて思いながら、
Miyu「あの時はフルーツ牛乳のこともそうだし、変な所を見せちゃってごめんね。あれからはね、なんか、知らない女性の方がうちのお母さんと話してくれたみたいでね、そのおかげか、自由にさせてもらえるようになったんだよね」
あの時は蒼くんにも迷惑をかけてしまったし、その謝罪も含めた文を作った。
今となれば、あの女性の方にお礼を言いたかった。だけど、その女性に会えて、かつ、その本人と気付く確率はとてつもなく低いだろう。
そー(蒼)「全然大丈夫! そのおかげで知り合えたんだし!笑 そうだったんだ! それは良かったじゃん!」
(気にしていないのか、それとも単純に優しいのか、どちらにしてもいい人だな〜)
Miyu「ありがとね! それでね…」
それからと言うもの、私たちの会話はかなり盛り上がったと思う。対面で話すより、言いたいことがすんなり言えて、本当に楽しかった。
「ねぇ、楽しそうじゃん〜」
ツンツンと私のほっぺを叩きながらなぜか、パジャマから体操服に変わっている彩葉ちゃんが言う。
「そんなことないよ〜」
「ふーん、まぁ、それは一旦置いといて、外に行か支度して!」
「え!? どう言う事?」
「いやー、輝星くんに誘われちゃってね?」
「え、何に…?」
「夜の観光!」
「え?」
「青春は1度っきりなんだよ?? 全力で楽しまきゃ!」
(まぁ、確かにそうだけど! って、さっきもどこかで聞いたね!? 彩葉ちゃんの口癖!? まぁ、せっかく友達もできた事だし楽しも!)
そう思って私は支度を始めるのであった。
※
それから数分後、
「いいねー、行く気満々じゃん!」
「いや!? そんな事ないよ!?」
(実際ルールを破ることに抵抗あるしね!?)
「まぁいいや。とにかく行こ!」
(先生様、またルールを破る事をお許し下さいませ…)
神様に祈るようにしながら、私は廊下に出た。
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