第16話 LINEの交換(男子視点)

いろは「なんの話する?」


Souta「そうだな、修学旅行っぽい話しないか?」


いろは「なにそれ?」


Souta「なんだろな?」


 いや、わからんのかいっ!


いろは「なんなのそれw」


 結局は2人でトークしてるみたいな感じになってしまっているのだが、実はこれは作戦である。


 これはこのメッセージの送り合いを始める、数分前の話である。




 僕たち男子組は今、歯磨きをしている。そこで唐突に颯太が言う。


「んで? 今どんな感じなん?」


「なにが?」


 まぁ、間違いなく恋の進捗のはなしだろうなぁ…。

 と、察しながら聞く。


「そんなの決まってるだろ? LINEは交換したのか?」


「もちろん、まだだ」


 フェイントをかけたものの、颯太は知ってましたよとでも言う表情でこちらを見たいた。


「そうか、じゃあなるっちに提案があるんだが…」


「え? どんな提案?」


 興味津々で親友の言葉を待つ。


「俺がなんとかして、桜田さんと2人でトークするんだ。まぁ、そこは任せな」


「それでそれで?」


 僕はワクワクと話を待つ。


「そうすると、なるっちと三日月さんの2人が暇になるだろ? だからその時にそっちは個人LINE追加して2人でトークするってのはどうだ? 俺がそう言う空気を作ってしまえば、LINEを追加する良い口実ができるんじゃないかとおもうんだが、どうだ?」


「天才だな、親友」


「だろ? 親友」


 そう言って、僕らは握手をしたのだった。





 と、言うわけで現在に至る。

 今は颯太は桜田さんと話しているので、作戦決行の時である。

 

 だが、その時


 ピロリン

 

 と音が鳴りながら、上から別のメッセージが表示される。


 お!? もしかして、三日月さん、僕と同じことを考えてくれたのか!? これこそ運命だ!!


 と、気を踊らせながらメッセージを開く。

 そこには三日月さんではなく、桜田さんからのメッセージだった。


 まぁ、現実とはこう言うものだなぁ。まぁ、女子とのLINE交換は初めてでもあるし、案外嬉しいかも??


いろは「ごめん、勝手に追加した! よろしく!」


 と、言った内容だった。


そー(蒼)「よろしくー!」


いろは「スタンプ」


 可愛い女の子のキャラクターとよろしくが書かれてあるスタンプだった。


 よし、ここからが本番だ…。

 可愛い猫のアイコンをタップする。そこには、Miyuという名前と、背景にまた別の猫が写っている。猫好きなのだろうか。


 後はこのボタンを押すだけ、押すだけなのに……。その後一歩が踏み出せず、僕は手をプルプル振るわせながら身体は硬直している。

 今時の男子なら経験したことのある人も多いのではないだろうか?

 

 そして、なんとかボタンに押すことに成功する。そして、文を考える。


「どうも、蒼だよ〜! 追加したくてしちゃった!☆」


 って、なに書いてるんだよ! 僕はどこかのギャルか?? 違う!


「俺は蒼。よろしく」


 なんか一人称も変わっちゃったな? そして、凄く堅苦しいね?? おかしいね!?


 どうやら僕は緊張しすぎてテンパっているようだ。


「クラスメイトの鳴釜です。美優さん、これからよろしく!!」


 よしこれだな。


 と、送信ボタンを押そうとするが、


 あ、やべ、理想混じって、美優さんにしちゃった、修正しないと!


「そろそろやりとりできてるか〜?」


 と、当然颯太が肩を組んできた衝撃で、


 ポチッ


「え?」


「ん?」


 それから、数秒の沈黙の後、


「あぁー! 押しちゃったああ! なにしてくれてるんじゃ、てめぇ!」


「はぁ!? なんで俺キレられてるの!?」


 颯太は顔を顰めていう。


「お前のせいで、三日月さんへのメッセージの送信ボタン押しちゃったんじゃ、ぼけ!」


「そりゃ、よかったじゃねぇか。さっきからずっと、『うーん』とか『えー?』とか、いいながらメッセージ考えてたじゃねぇーか」


「そんなこと言ってねぇわ!」


「んじゃ、無意識? 怖すぎて今から腹筋100回出来そうやわ」


 そうして、地面に寝そべり、腹筋を始める。


「全く意味がわからん!」


「それより、、メッセージの、、取り消しを、、しなくても、、いいのか?」


 颯太は器用なことに、高速で腹筋をしながら喋っている。

 実はこいつ、筋肉ムキムキなのかもしれない。


「あ、やべ」


 そんな呑気な事を言ってる時間が仇となったのか、


 ピロリン


 と、僕のスマホが音を立てる。


「あ、え…」


 ダメだ、絶対に引かれてる。僕の人生終わったな……。でも見ないとな…。

 

 と、恐る恐るスマホを開くと、


Miyu「改めまして、三日月 美優です。よろしくね! 下の名前で呼んでくれるの?? ありがとう! じゃあ私も蒼くんって呼ぶね!」


 え?? あれ? なんで? は? ん?

 僕は大パニックに陥る。


 もしかして、僕のとこ好きなのか?


 と、勘違いしてしまうほどのこのメッセージは強力な威力を持っていた。まさか、いきなりお互い下の名前で呼ぶことになるなんて、微塵たりとも思わなかった。

 まさかの対応にも臨機応変に対応出来るのが僕。ここは今の会話で距離を少しでも詰めていく方針で行くことに。


そー(蒼)「うん! 美優さん、ありがとう!」


 いやぁ、名前で呼ぶの緊張するな…。


 そんなことを思いながら方針通り会話を続けるべく、僕が気になっていた質問を投げかけてみることに。


そー(蒼)「そう言えば、僕たちが出会ったのもここじゃん? あれからどうなったの?」


Miyu「あの時はフルーツ牛乳のこともそうだし、変な所を見せちゃってごめんね。あれからはね…」


 と、ここで一区切りつけた後、


Miyu「なんか、知らない女性の方がうちのお母さんと話してくれたみたいでね、そのおかげか、自由にさせてもらえるようになったんだよね」


 フルーツ牛乳のことをまだ気にしてくれてるの申し訳ないな。家庭事情に介入しすぎたのはよくなかったな…。


 と、個人的に反省しながら、


そー(蒼)「全然大丈夫!! そのおかげで知り合えたんだしね!笑」


そー(蒼)「そうだったんだ! それは良かったじゃん!」


 あの時のことがなければ、僕たちはここまで仲良くなれてなかったと思う。なんなら、あの事に感謝までしているまである。


Miyu「ありがとね! それでね…」


 それから約数十分間、1度も途切れることなく会話が続いた。

 美優さんとは割と良い空気で会話ができたのではないだろうか。僕たちは、直接ではコミュ障がでるからか、文面での方がちゃんとした会話ができているような気がした。


 そうして、気分が良くなっているのも束の間、いきなり颯太が、


「なるっち、外行くぞ!」


「は?」


 見ると、颯太は既に外着に着替えていた。


「桜田さんたちと観光行くぞー!!」


 それから、僕に近づいて小声で、


「三日月さんも連れてくるらしいから、また、一緒に楽しい観光が出来るぞ??」


「よし、行こう!!」


 と、言う訳で僕は高速で着替えて、外に出る事になった。

 でも、内心は


 ———大丈夫かな…、バレたら大変だぞ…?


 と言う気持ちがあったのも事実だった。



 〜後書き〜


 こんばんは!ともともです!とても期間が空いてしまい申し訳ないです。本日よりゆっくりではありますが、復活していこうと思います。

 この話もかなり前に書いたものになっており、正直あんまり覚えていませんが、少しでも面白く描けるように頑張りますので改めてよろしくお願いします!

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