第6話 朴透

僕は朴透

本名だよ

あまり信じて貰えないけどね

僕は設定でモデルをやってると書いたがあれは本当だよ

最近は人気ファッション雑誌の表紙をさせてもらってる

じゃあ何でこんな僕がVTuberになろうと思ったか...今から皆さんにお話します



僕の家は国際色豊かな家庭だった

両親は韓国と日本

もちろん僕はハーフだ

祖母や祖父もヨーロッパ系

つまりクォーターだね

僕の家族は

両親、僕、弟妹(2人ずつ)、祖父母の

計9人家族

日本の家庭にしては多いね

でも、ある事件で僕の家族は崩壊した









「都内在住の家族が、ある猟奇殺人に巻き込まれました。」




その日は晴天だった

僕ら家族は珍しく全員予定もなく家でゆっくりと過ごしていた

この時はまだ誰も知らなかったんだ

この後に起こる胸糞悪い出来事を



お昼頃だった

家のインターホンが鳴ったんだ

父さんが出た

何か話していてそのまま外に出た

...帰ってこなかった

5分、10分...いつまで経っても音1つない

祖父が様子を見に行った

ドアから外を見たらしい

何もいなかった

それどころか人の気配すらなかったらしい

何かが起きたんだ

違和感はあった

でもすぐに気づけなかった

祖父がおかしいと思いリビングに戻ってきた

家族に異変を伝え父さんに電話をした

父さんは基本肌身離さずに携帯を持っている人なんだ

prr...prr...ガチャ

「.........」

何も聞こえない

それどころか静かすぎる

「......ろ」

「...え?」

「...に、げろ...!」

ツ一一一ツーーー

電話は切れた

父さんの声だった

でもにげろって何?

父さんに、何かあったの?

僕たちはまだ幼かった

僕は小学一年生

弟妹はそれよりも下だ

だから、わかっていなかったんだ

...これ以降父さんに電話が繋がることはなかった


祖母が警察に電話をした

すぐに警察は来てくれた

父さんの事を話したら、ある事件の可能性が出てきた

「ジャックザリッパー事件」

その当時、ある映画の影響もあり、ジャックザリッパーを名乗る殺人鬼が世に出てきた

当初は海外での被害が報告されていたが

最近では、この辺りでも被害が確認されている

もしかしたら父さんは、その殺人鬼の被害にあったのかもしれない

警察の人にそう言われた

でも、何かがおかしいんだ

何故、犯人は僕らの家を狙ったんだ?

僕たち家族は恨みを買うようなことはしていない

そもそもインターホンを鳴らしたのは宅配便の人だったはずだ



謎は深まるばかりだ

捜査が始まった

でも父さんは見つからない




父さんがいなくなって暫くしたある日、警察から電話があった

「お父様とみられる男性が、見つかりました」

家族全員が喜んだ

でも束の間の喜びだった

「ですが...ご遺体となって発見されました」

...どうして

何故

父さん

もう会えないの?

僕たちは泣き叫んだ

泣いて泣いて声が枯れるまで泣いた

一晩中父さんの帰りを待っていた

祖父が警察署まで父さんかどうか確認しに行った

「おじいちゃん...おじいちゃんは無事に帰ってきて!」

僕は祖父に言った

祖父は微笑んで、幼い僕の頭を撫でてくれた

...それが、祖父との最後の会話だった



prr...prr...

電話がなった

母が出た

「もしもし。朴さんのお電話で間違いないでしょうか?私は△△警察署の者です。」

相手は警察の人だった

「何でしょうか...?先程電話を頂いて、祖父が今確認に向かっていますが...。」

「え、何のことですか...?我々は旦那さんを発見したという報告を今からしようとお電話したのですが...」

「えっ...じゃあさっきの警察の人からの電話は一体...」

「...すみません。もしかしたら犯人が我々になりすましたのかもしれません。...我々は今日、今初めてお電話をかけさせていただいてます。」

「そんな...」

「確認には、おじい様が行かれたのですね?こちらもすぐに捜索隊を派遣します。...それと旦那様の事ですが...ご遺体となって発見されました。...身元が分からないほど無残な姿になっています。発見場所は...ご自宅がある区域のゴミ捨て場です。」

「そ、んな...ことって...」

僕たちは知らなかった

まだこの事件は終わっていない

これから始まるのだ


その後祖父は見つかった

遺体となって

近くの河川敷で走っていた方が、流れてきた祖父を見つけたらしい

数日後父さんと祖父のお葬式をした

悲しかった

悔しかった

辛かった


その後犯人は見つからなかった

でも事件は続いた



数年後

僕が小学校高学年

弟妹が小学校低学年

やっと気持ちが少し落ち着き

少しずつ、いつも通りの日常を送れるようになった

...その日

祖母が昔からの腐れ縁の友人に会うといい、朝から出かけていた


祖母は、夕方になっても帰ってこなかった

何度も何度も、電話をかけた

その中で、1度だけ繋がった時があった

その時は

「電車が遅れているらしくってね...。帰りが遅くなるわ:( ;´꒳`;):」

祖母の声だった

僕たちは安堵した

良かった、無事だ、と

...これが祖母との会話

最後になるとも知らず


祖母は、日付が変わっても家に帰ってこなかった

母さんは心配して警察に相談した

その後、祖母は無事見つかった

今回は、生きていた

でも、体にかなりの傷があったらしい

特に脳を強打しているらしく目覚めるかは分からない

お医者さんにそう言われた



祖母は今でも目覚めていない

見た目も変わっていない

まるで、眠れる森の美女のように

いつまでも眠り続けている




その後、犯人は見つかった

...犯人自身も遺体となって

警察の人が言うには

父さんや祖父を殺し、祖母を昏睡状態にした

そして、僕たち家族を、いつ来るのか分からない恐怖に陥れた

その犯人は遺体となって見つかった人らしい

でも、その犯人を殺した真犯人がいるとも聞いた



俺は、犯人を許さない

遺体となって見つかった犯人も

犯人を殺した真犯人も



その為に俺はモデルを始めた

神の悪戯イタズラか、俺は運が良かった

街中でスカウトされた

給料もいいから家族を養える

それに、これで真犯人が俺を見つけるかもしれない


モデル業の傍ら、情報屋も始めた

もちろん、真犯人を探すため

何のために、僕たち家族が巻き込まれたのか知るために


VTuberに応募したのは、モデル仲間で俺の事情を知っている幼馴染に言われたから

「VTuberはネットで活動をする仕事だ。VTuberをしていたら、もしかしたら犯人の情報も集まるかもしれない」

幼馴染は、俺に降りかかる危険を承知でVTuberを進めてきた

もちろん俺は喜んでその話を受けた

そもそもオーディションだ

受かるかどうかは運次第


...まさかの、受かった

合格したから、事務所に所属する事になった

もちろん、モデルの方の事務所には話をした

モデルの方の事務所は俺の過去の事情、幼馴染が俺の協力者であること、全て知っているから

VTuberの事も話した

「...生きていてくれるならそれでいい。でも、危険なことは出来るだけしないでほしいよ(´˘`*)僕たち...君のことか好きな人としてはね。」

俺のことを心から心配してくれた

...ありがとう、社長

でも、僕は

家族のために

俺のために

アイツに復讐したい

願わくばこの手で

アイツを牢にブチ込む

そのためには何でもする

俺の大切な家族を守れるなら


俺は、VTuberという立場をも利用して、

そして、俺自身も偽る

...ごめん

ヒナタ

クリスタ

...REO

いつかは、話すよ

この事も、僕の過去も

その時は...俺の事をどう思うだろう

殴るかな?罵るかな?それとも...

...何でも甘んじて受け入れよう

僕は、彼らの事を気に入ってしまった

初めて出会った彼らの事を

...友達だ

仲間だ

大切な...

唯一無二の仲間だ






QUARTETOの皆

ありがとう

そして、ごめん

いつか話せる日まで待ってくれ

その時は腹を割って話そう

だからその日までは...許してくれ




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る