第二十六話 妖魔の正体
「へえ~、凄いな。薬屋の中は実際にこうなっているのか。普段は見れないから面白いものだ」
清潔感のある部屋の中央には長卓が置かれ、その上には調薬に必要な
それだけではない。
三方の壁の前に置かれた
正直なところよく分からない名前なども多く書かれていて、どんな
だが、それよりも気になることがあった。
やがて、そのことを口にしたのはアリシアだ。
「私も
確かにそうかもしれないな。
この部屋には複雑に入り混じった、独特な匂いが
匂いの発生源は、何百とある
アリシアが言ったように、
しかし、俺はこれらの匂いを
いや、むしろ
ふと俺は
そのため、山中に少し入るだけでも独特な匂いが
この部屋に
そして
そう言えば、
人間界にいる動物と違って何も食べなくても生きられる
それこそ本当に好きな匂いの場合は、10~20年は
だがそれ以上を過ぎると、新たな匂いを求めて違う場所に移動するのも
…………待てよ。
この薬屋の敷地内にいるのは、もしかすると妖魔ではないのかもしれない。
正直なところ、こうして敷地内に足を踏み入れても妖魔が発する妖気はまったく感じられなかった。
それはアリシアも
ここには魔王と呼ばれる妖魔と闘ったときのような、全身の震えが止まらなくなるほどの圧迫感や恐怖感が全然ないのだと耳打ちしてくれた。
しかし、
ということは、だ。
知らない人間からすれば妖魔と見分けがつかなかっただけで、この敷地内にいるというのは妖魔ではなく
そこまで考えたとき、
やはり、口では妖魔と言っていても恐怖を感じている
俺の予想は当たっているとみて間違いないだろう。
などと判断すると、アリシアはお茶を一口すすって話を切り出した。
「それで、肝心の妖魔はどこにいるの? え~と……
「……あんたら年はなんぼや?」
アリシアは小首を
「な、なんぼ? なんぼってどういうこと?」
「何や分からへんのか? 年はいくつやって
本当に聞けば聞くほど独特な言葉使いだ。
北方民族の衣服である
まあ、それはさておき。
俺とアリシアは互いに顔を見合わせると、隠すことも
「俺は18だ」
「私も18歳よ」
それを聞いた
「うちもあんたらと同じ18やで」
俺とアリシアは心の底から驚いた。
どう見ても
「そういうわけやから、うちのことを『ちゃん』づけするのはやめてえな」
ほんで、と
「兄さんはどうして第5級の
続いて
「それに、そっちの姉さんも一体何者やねん? 異国人が
同時に、なぜこんな2人が一緒にいるのか気になるはずだ。
今の
「分かった。俺が話そう」
俺はちょうど良い
そして――。
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