第二十三話 特別な妖魔
翌日の昼過ぎ。
俺は広場の
もちろん、
しかし――。
「今のところ、
開口一番、受付嬢の女性にそんなことを言われてしまった。
「それ以外でしたら農作物を荒らす
「あれ? 護衛任務は
それは
貴重な商品を運ぶ行商人や
「確かに護衛の仕事は
俺の質問に受付嬢は素直に答えてくれた。
なるほど、と思った俺はさらに
「ちなみに王都の
この質問には隣にいたアリシアも「良い考えね」と
俺たちの目的は
なので
だが、受付嬢はあまり良い顔をしなかった。
「残念ながら、
ですので、と受付嬢は仕事の依頼が
「今ある仕事ですと数日かもっと掛かる、長期的な薬草採取の仕事でしょうか」
数日以上はかかる薬草採取?
俺が頭上に
「薬草を
「ここ最近、街の近場で
無知な俺たちに受付嬢は
「そのため、薬草が好物な妖魔たちも街から遠ざかっているんですよ。まったく
そこで受付嬢はハッとしたような表情を浮かべた。
まるでうっかり口を
例の妖魔?
当然のことながら、俺はその言葉を聞き
それは
「ちょっと待ってください。さっきは無いと言っておきながら、魔物……妖魔
アリシアが言い寄ると、受付嬢は明らかに
それでもアリシアは本当のことを教えて欲しいとばかりに、
やがて受付嬢は
おそるおそる俺たちを交互に見ながら口を開いた。
「実は1件だけ妖魔
「なぜですか?」
「あまりにも強すぎるからです」
受付嬢は半ばしどろもどろになって答える。
「強すぎると言っても実際にはどれぐらいの強さなんですか? 第3級……まさか、第2級の
俺の問いかけに受付嬢は首を左右に振った。
「……いえ、その妖魔には第1級の
これには俺も驚きを隠せなかった。
第1級の
しかし、そんな凶悪な妖魔に街の人たちが
昨日、広場で
加えて
では、受付嬢が俺たちに嘘を言っているのだろうか?
俺は「いや、それはないな」と判断した。
どう見ても受付嬢が嘘を言っているようには見えないし、そんな嘘を俺たちにつく理由がそもそもない。
などと俺が思ったとき、アリシアが俺の肩をポンポンと叩いてきた。
俺は「どうした?」とアリシアに顔を向ける。
「もしかして、その妖魔は私が探している魔王かも……」
俺はアリシアの言葉に目を丸くさせた。
確かに第1級の
「
もちろん、アリシアが何を言いたいのかなど手に取るように分かる。
「ああ、請けよう」
俺とアリシアは、その例の妖魔の
「ほ、本当にこの仕事を請ける気ですか? あなたたちはまだ第5級の
断られるのは百も
「お願いします。その妖魔の
「いえ、今のところ誰も請けてはいませんが……」
「それはなぜです? 第1級の
「そういうわけではありません。ただ、うちの
俺とアリシアは互いに顔を見合わせ、そして同時に受付嬢に視線を送る。
すると受付嬢は「え~と、つまり」と例の妖魔についての事情を教えてくれた。
その妖魔はいつからかとある
最初は下の階級の
そして
俺とアリシアはようやく納得した。
「要するに、立ち向かわなければ被害は出ないということですね?」
「はい、その通りです。それにあまり大きな声では言えませんが、その依頼した
できません、と受付嬢が言おうとしたときだ。
「請けます!」
俺とアリシアは強く声を重ねて言った。
その後、俺たちは
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