第九話 手合わせ
この人だけは他の
私は長剣の切っ先を
試験である魔物退治に同行してくれると言ってくれたとき、私は先ほども本人に言ったが本当の本当に嬉しかった。
そして同時にこうも思ったのだ。
異国人には冷たいという噂は聞き
私と同じ10代でありながら、
この人はかつての仲間とは違うかもしれない、と
今でこそ1人旅を続けている私だが、こんな私にもかつては一緒に魔物と闘う仲間たちがいた。
しかし、互いに信頼性があったかと問われれば強く
なぜなら私のかつての仲間たちは人々の平和を
しかも仲間たちの目的は巨悪を倒したあとの人々の平和ではなく、巨悪を倒したあかつきには貴族の仲間入りができるからという即物的な理由だったことは後になって知ったことである。
そんなかつての
同世代ということで、勝手に親近感が
だが、結局のところ
でも、それならそれで構わない。
私は気持ちを落ち着かせるため深呼吸をした。
続いて
ほとんど
たとえ
たとえそれが最低な行為だと自分でも分かっていてもだ。
などと私が思考を
「どうしました? 俺は腰の剣を抜かずに防御に
その言葉にはさすがの私もカチンときた。
けれども、素手の状態で剣を抜いた相手をするとは大口を叩きすぎだ。
私を女の剣士だからと
それともハッタリを言うことで私の油断を誘うつもり?
私は自然体で立っている
違う……この人は大口を叩いているわけじゃない。
本当に今の私を素手で相手にできると思っているんだ。
――武人の強さは立ち姿にこそ現れる。
このとき、
それは身体の
私とて
本気の
だとしても、もう後には引けないのも事実である。
ならばどうするか?
決まっている。
「
私は中段に構えていた自分の剣を、顔の右横に立てるようにして構え直した。
コオオオオオオオオオオオ――――…………
直後、私は猛獣の
すると私の腹の底から、
その力はやがて
身体だけではない。
私が持っている剣の
しかし――。
やっぱり、これが今の私の限界なのね……。
私は本来の10分の1以下にまで落ちている力に改めて
魔法を生み出す魔力とは違う力――〈
果たしてこの程度の力で、
答えは分からない。
だけど、ここで引くという選択肢だけはなかった。
そして、
だとしたら、私が取るべき行動は1つだ。
私は剣を握っていた両手にギュッと力を込める。
あの技を出すしかない。
本来だったら
けれども、それだけで十分だった。
何せ
自分の服を斬ることができたならば、
やがて私はスッと両目を閉じてすべての雑念を消した。
そして――。
「チェエエエエエエエエエイ――――ッ!」
私は両目を見開くと同時に
そのまま私は間合いを詰めると、
この瞬間、私は
それが
私は最初の斬撃をわざと
秘剣・
この技ならば
そう思っていた私の考えは一瞬で崩れ去った。
「――――ッ!」
私はあまりの驚きに瞬きをすることも忘れてしまった。
なぜなら、
それどころか、逆に踏み込んできて私の斬撃を受け止めた。
そう、
「とても良い斬撃です、アリシアさん」
「あなたの本来の力が
続いて
「これが今のあなたの限界です」
次の瞬間、私の体内で何かが爆発したような衝撃が走る。
私の視界はグチャグチャになり、両手から力が抜けて剣が地面に落ちる。
そして、私の意識は大きな疑問とともに深い暗闇へと落ちていった――。
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