第七話 妖魔討伐
この試験はアリシアさんには少し荷が重いかもな。
「ハアアアアアアア――ッ!」
そんなアリシアさんは腹の底から気合を発すると、妖魔に向かって
だが、妖魔にはアリシアさんの斬撃は当たらない。
妖魔はアリシアさんの斬撃を余裕で
左右の手を交互に振り回すような
「くッ!」
アリシアさんは何とか
直後、アリシアさんは立ち上がって妖魔と
先ほどからこんな
アリシアさんが攻撃して妖魔が避ける。
続いて妖魔が反撃してアリシアさんも避けるのだ。
一見すると互角のような闘いに見えるが、俺の目からはとても互角とは言い切れなかった。
相手が見た目よりもすばしっこいこともあったが、それ以上にこのまま闘いが長引けばアリシアさんの体力が持たない。
さて、どうなるかな。
俺は両腕を
現在、俺たちは
もちろん、アリシアさんの
そして
その妖魔が
妖魔の名前は
そんな
なので死体が多くある戦場や墓場などに現れると言われていたが、中には生きた人間の脳みそも好物な
アリシアさんと闘っている
生きた人間も
それにしても、と俺は思う。
前もって聞いてはいたが、
もしかすると、最悪な場合もあり得るかもしれなかった。
すなわち、アリシアさんが逆に
まあ、そんなことは絶対にさせないんだが……。
本来、目付け役の
資格試験を受けた
それを見極めるために目付け役としての仕事がある。
だが、目付け役には密かに
けれども、目付け役の
あくまでも
そんなことを考えていると、
「ガアアアアアアアアアアアアア――――ッ!」
先ほどよりも数倍は力強く速い攻撃だ。
俺は思わず身を乗り出した。
やられる!
と、俺がアリシアさんの最悪な状況を
アリシアさんはカッと目を見開くと、長剣を瞬時に
攻撃よりも防御に専念する作戦に切り替えたのだろう。
アリシアさんは強風に逆らわない
だが、全部の連撃を綺麗に
何か所かは肉体に
このとき、俺は奇妙な違和感を覚えた。
違和感の原因はアリシアさんだ。
アリシアさんが異国の剣士なのは見てよく分かる。
我流ではなく、きちんとした師の元で修練を積んできたのだろう。
だからこそ、俺はアリシアさんに違和感を覚えたのだ。
1つ1つの技には剣の
普通ならばそんなことは絶対になかった。
武術というのは
しかし、アリシアさんは技が身に付いているのに肉体が鍛えられていない。
いや、鍛えられていないというのは
どちらかと言えば、
なぜなら、今のアリシアさんが使っている体術は
西方ではどんな名前なのかは知らないが、あの技は
そして本来は相手の攻撃を
間違いなく、
だとすると、このままではアリシアさんの身が危うい。
とはいえ、直接手を出すのは目付け役としてご
だったら、
などと俺がその
バアンッ!
何かが
アリシアさんは小さな悲鳴を上げて大きく吹き飛ばされる。
何度も地面を転がった末に、アリシアさんの身体はようやく止まった。
「くっ……まだまだよ」
致命傷だけは必死に
アリシアさんは長剣を
一方、余力が残っている
弱った
次の一撃で目の前の
そして、それはアリシアさんにも分かったのだろう。
ゆえにアリシアさんは余計な小細工を捨て、捨て身の一撃に賭けることにしたらしい。
全身から凄まじい闘気を放出させたアリシアさんは、中段から下段に剣を構え直して
すると
ここだ、と俺は先ほどから
手を出さずに手を出す
俺は瞬時に
それは人間の体内に
けれども、
直後、俺は
ビクンッ!
次の瞬間、
俺の精気の念を不意に受けて、あまりにも激しく
「セヤアアアアアアアアア――――ッ!」
その一瞬をアリシアさんは見逃さなかった。
アリシアさんは両手で握っていた長剣を、
それだけではない。
アリシアさんはすぐに
そして――。
やがて闘いに何とか勝利したアリシアさんは、武人らしく
そんなアリシアさんを見つめながら俺は思った。
今のままでは
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