第六話 目付け役
アリシア・ルーデンベルグこと私は、その黒髪の少年を見て目を丸くさせた。
さっき私が立ち回りの
私は目の前に現れた、
年齢は私と近い17、8ぐらいで合っているだろう。
どうもこの国の若者は、私たち西方の人間からすると実年齢以上に若く見える。
そしてよく見ると顔立ちは整っているほうに入っていて、裕福な
また奇妙な長剣を持っているのと
どうやら、立ち回りの
などと私が思っていると、
「小僧、いきなりしゃしゃり出て来てすぐにバレるような嘘をつくんじゃねえよ。お前のようなクソ弱そうな奴が
いえ、彼はかなり強いわよ。
実際、私は大通りで刃物を持った男たちを
それだけではない。
確かに一見すると
だが、そう決めつけてしまうのは観察力と想像力のない人間だ。
外見に
左右にブレずにぴんと伸びた
衣服の上からでもかすかに分かる、
日頃から素手の
左右の手の人差し指と中指の付け根――
そんな
「俺は嘘なんてついてないぞ。何だったらそこの受付嬢に調べて
そう言うと
すると
「は、はい! ただいま!」
受付嬢は慌てて奥の部屋から一冊の
冒険者ギルドで言うところの、正式な
「確かに3年前に
「仕事の依頼までは受ける必要がなかったんでな」
と、
その
「ふん、未だに信じられねえがどうやら本物の
どうやら、あの
直後、
「だったら、これで俺が目付け役として同行するのに
「うぐ……」
そのときである。
「少しだけありますね」
受付嬢の後ろにあった部屋から1人の男が現れた。
40代半ばと
「
そんな長身の男を見た瞬間、かしこまって頭を下げたのは受付嬢である。
私はすぐにピンときた。
この長身の男はギルドマスターだ。
「少しだけとはどういうことだ? まさか、
「そんなことはありません。
ですが、とギルドマスターは
「異国人にこれまで
ギルドマスターは私に顔を向けると、「あなたは異国では冒険者でしたか?」と
「……はい、私は冒険者でした」
嘘ではない。
しかし本当のところは
「でしたら話は早い。ちなみにお名前は?」
「アリシアです。アリシア・ルーデンベルグ」
「分かりました。アリシアさんですね。どうやら
「普通の試験を受けるだけでは、他の
「…………」
何となく分かるような気がする。
私の生まれであったサーガイア王国では、多種多様な民族がひしめく〝人類のるつぼ〟のような国だったため、異国人が冒険者登録をしようとしても
それどころか、見どころのありそうな人間は異国人であろうとも他の冒険者パーティーから
けれども、
外から来る異国人に対して、思った以上に風当たりが強い。
つまり、異国人がこの国で認められるには相当なことをしないと駄目なのだ。
だからこそ、
他の
私は
「普通よりも難易度が高い試験でも構いません。ですので、どうか私に
掛け値なしの本気だった。
この
「どうやら本気のようですね」
でしたら、と
「アリシア・ルーデンベルグさん。あなたには
第4級の妖魔
この
それでも
「異国で冒険者をしていた方なら分かると思いますが、
Aランク→第1級。
Bランク→第2級。
Cランク→第3級。
Dランク→第4級。
Eランク→第5級。
そして本来は
だが、今回の私の資格試験の難易度は1ランク上の第4級。
しかも話を詳しく聞くと、名目上は第四級でも実際の難易度は第3級に近いのだという。
なるほど、これぐらいのことをしないと周囲に認められないというわけね。
仮に試験に合格して今後も
そのとき、異国人であるということが不利になるのは明白だ。
しかし、私が通常よりも難易度の高い試験を受けて合格した
対応や口調さえ間違わなければ、よほどのことがない限り他の場所でも
もちろん、今の私に合格できたならの話だ。
正直なところ、以前の私ならばDランクやCランク程度の魔物退治は余裕だった。
だが、
ただし、ここで
肉体的な強さ以外にあった、私のもう1つの力が明確に告げてくる。
そう
私は力強く首を左右に振る。
「いいえ、受けます……受けさせてください!」
こうして私は
他の
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