第四話 金毛剣女
「でもよ、本当にこいつで間違いないのか?」
俺がキョトンとしていると、
「一応、背格好は聞いていた通りだ。17、8の小僧で
「ああ、それに腰に差している奇妙な剣もそうだ。旦那から聞いた特徴と
「だが念のため、もう一度だけ本人に聞いても良くないか?」
そうだな、と6人の中でも体格の良い熊みたいな男が
「小僧、お前は本当に
「だから、そうだって言ってるだろ」
「やっぱりそうか。だったら、お前はここで死んで
「おいおい、
言うんだ、と口にしようとしたときだ。
周囲から耳をつんざくような悲鳴が響き渡る。
同時に6人の
短剣も殺気も本物。
間違いなく、この6人の
それでも俺はまったく動じずに
そして最初に猛進してきた男の突きを
すると最初に突っ込んできた男は、そのまま勢いを落とさずに
直後、俺は
ある者の顔面には突きを、ある者の腹へ蹴りを、またある者の首筋に
〈
「くそっ、こんなに強えなんて聞いてなかったぞ!」
ようやく自分たちと俺との実力差を見極められたのか、
「一体、何だったんだ?」
やがて俺が逃げていく
なぜか、周囲から
「すげえぜ、あんた! 何て見事な立ち回りだ!」
「しかも
「そこいらでやっている芝居を観るよりも胸が熱くなったわ」
次々と俺を
俺はその
初めて見た異国の人間だった。
年齢は俺と同じ18ぐらいだろうか。
王都の
しかもかなりの美形の持ち主だ。
背中まで伸ばされている
それだけではない。
商人……いや、異国の武芸者か。
一般的に西方の国から異国人が
だが、中には武芸者と呼ばれる者が
目の前に現れた
なぜなら、腰に立派な長剣を差していたからだ。
さながら、
そう思った直後、俺は誰かに自分の肩をポンと叩かれた。
振り返ると、そこには無愛想な
そして――。
「兄さん、全部で
と、
「え? 何が
「店の修理代」
あっ、と俺は
先ほどの
見事に
俺は正直に「すいません、もう金はないんです」と
ここに
とはいえ、非常に困った。
本当にまったく金はもうない。
さりとて、〈
「悪いがそれは通らねえぞ、兄さん。こっちも商売をしている身なんでな」
それはよく分かる。
だからこそ、俺はこうして逃げずにいるのだ。
その気になればこの場から逃走するぐらいわけないが、それをしてしまっては人間としても
こうなったら、少しの間だけでも〈
などと俺が〈
「お金なら私が立て替えましょう」
見ず知らずの
これには俺も
「あなたの
そう言うと、
「つかぬことをお聞きしたいのですが、この街の冒険者ギル……いえ、
「え……あ、ああ……ど、
「ふむ、ここからはまだ距離があるのですね」
「近くに行ったらまた誰かに
用は済んだとばかりに、
一方の俺はしばしの間、ポカンと
やがてハッと気づいたのは、10呼吸(約50秒)ほどが経ってからだろうか。
「いやいやいやいや、そんなもの
どこの誰かは知らないが、立ち回りの
もしかすると、異国人のためこの国の通貨の価値がいまいち分かっていなかったことも考えられる。
だとしたら
とにかく、もう一度会って話をするしかない。
俺はすぐに駆け出して
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