第三話 今後の行く末
さて、これからどうするか。
ふあ~、とあくびをしながら
現在、俺は街の大通りの中にいる。
そして、すでに太陽の光は真上から
つまり、今はもう朝を通り越して昼なのだ。
「意外と安宿でもぐっすり眠れるもんなんだな」
屋敷の布団の寝心地に比べたら
しかし、これでほとんど手持ちの金は無くなってしまった。
せいぜい、あとは一食分の飯代ぐらいしか残っていない。
その
だが、今まで
「残る手立てはこの〈
俺は
森の中で気づいたときから片時も離さず持ち歩いている剣だった。
というか、どこかに置き忘れたかと思っても気づいたら手元にあるときが多い。
自分で言うのも何だが、奇妙で不思議な剣だ。
どうして
だが、
別に
けれども、こうして
普通の人間ならば、真っ先に金になりそうなこの剣を売り払うだろう。
しかし、俺の本能が明確に告げている。
この〈
「安心しろ。これまでずっと一緒にいたんだ。飢え死にしそうになってもお前は手放さないさ」
と、俺は〈
やはり、ここは真っ当な働き先を探すのが確実で早い。
そうなると俺に出来る仕事といえば、武術の家庭教師か昔取った
などと考えていると、「どけどけ!」と後方から野太い声が聞こえてきた。
俺が振り返ると同時に、先端に木箱が付いた長細い木の棒を
郵便配達人の1人だ。
手紙もその盛んになった中の1つだ。
しかも手紙を管理する郵便施設は街道沿いに距離を開けていくつもあり、その点在する郵便施設に
もちろん数十人しかいない片田舎の村ではこうはいかず、それなりの規模で発展している街でなければいけない。
そして王都の
周囲を見渡せば、飲食店を始めとした様々な店が
それだけではない。
他の街から来た行商人が開く
当然と言えば当然である。
ようやく長い冬が終わって、草花が咲き乱れる暖かい季節になったのだ。
……うん? 人間たち?
ふと俺は自分自身に対して
なぜ、人間の俺が同じ人間に対して上から目線になったのだろう。
別に俺は人の上に立つ身分や職業にも
「これはあれだな。きっと腹が減りに減っているせいだ」
グウウウウウウウ…………。
その通り、とばかりに俺の腹が盛大になる。
まあ、昨日の夜から何も食べてないからな。
なので俺は視界の端に入った
「いらっしゃいませ! 美味しい
隣には父親で店主と
それはさておき。
「
「ありがとう、お兄さん。じゃあ、
俺は金を払ってアツアツの
これで残りの金も
などと思っていても金が増えるわけでもないので、とりあえず俺は腹を満たすことに全力を注ぐことにした。
腹が減っていると頭も身体も上手く働かないしな。
俺は
その直後である。
首筋を通り過ぎる風の中に、ピリピリと肌を刺激する冴えた冷気を感じた。
殺気だ。
俺は顔だけを振り返らせると、そこには体格の良い6人の男たちがいた。
ボサボサの髪や身なりからして、暴力が
「小僧、お前の名前は
「そうだが……何だ、あんたら?」
「やっぱりそうか。その腰に差している奇妙な剣は珍しいからな。すぐに見つけられたぜ」
そして――。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます