第二話 暗殺命令
これで
現在はすでに日が暮れて夜のため、無一文で出て行った
けれども、わしは
それどころか、さっさとどこかで
当主であった
念のため現場検証を行った役人にも金を
今回の一件――それは要するに、
もちろん、わし自身が手を汚したわけでは当然なかった。
専門の人間を何人も雇って事故死に見せかけたのだ。
犯行現場はこの街と
そしてこの春先の時期になると、
理由は以前に死んだ
狙うならこのときぐらいしかなかった。
なぜなら
おかげで計画通り事が進めた。
これにより
「くくくっ……これでようやくわしの悲願が果たせるな」
豪商で知られる
その資産のすべてがわしの手中に入ってきたのだ。
笑いが込み上げてくるのも無理はない。
もちろん、これからは今まで冷や飯を食わされていた分まで
しかし――。
わしはぎりりと
この屋敷を追い出されて約10年。
たかが
どうして
今でも当時の怒りは鮮明に思い出せる。
少しばかり
それだけでわしは裕福を絵に描いたようなこの屋敷から追放され、
働かずとも食っちゃ寝の生活はできたものの、いかんせん毎月の小遣いが決められていて、今までのような
最初はそれでも無理やり納得していたが、1年前にある用事で王都の
いや、正確には1人の
田舎の
だか、その
毎月の小遣いなど
そこでわしは決意した。
この
だからこそ、わしは
それだけではない。
そして代わりに新たな使用人たちを雇ったのである。
などと考えていると、部屋の扉がゆっくりと開かれて1人の男が入ってきた。
わしよりも10歳は年下の30代半ばの男だ。
名前は
「
最高です、と
「まるで生まれ変わったようですよ」
この新しい
分家に追放されたあとに知り合った男で、裏社会の人間とも関りが多かったこともあり、今回の計画のために人を用意するよう頼んだのである。
おかげで見事に
本当に使える男だ。
やはり新たな
そう思っていると、
「これで
「心配せずとも分かっている。お前には庶民では考えられないような生活をさせてやるわ」
「ありがとうございます……ですが、1つだけいいですか?」
「何だ?」
「先代当主の
「うむ……そう思うか?」
はい、と
「せっかく金と時間と労力を
ここは念には念を入れて
「いいだろう。人選はお前に任せる」
「了解しました、
「まあ、そう意気込むな。やはり、
「しかし、ここは念には念を入れておきましょう。ちなみに、あの小僧は
「おそらく、武器のほうの剣術の使い手だろうな。先ほども
このとき、ふと
よく考えてみると、あまり見たことのない珍しい長剣だった。
長さは3
なぜ、長剣の
そう思った直後、わしは
「ど、どうした?」
「いえ、すぐに動こうと思うのですがよろしいですか?」
いかんいかん。
今は
わしはゴホンと1つだけ
「あ、ああ……もちろんだ。ヘマをせずに頼むぞ」
「かしこまりました。それでは」
と、
「殺すまでもないとは思っていたが、やはり火事になりそうな
一息ついたわしは、再び酒を
今夜からは楽しい夢ばかりを見れそうだ。
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