第10話 怪しい男と契約書

その後…クロネは部屋に閉じ込もってしまった。


【クロネの部屋】

……分かっている。

自分が馬鹿な事を言ってるって。


「(私は…別に女王の座につきたい訳じゃない――お姉ちゃんの事が心配なの……)」


クロネは、流月・シロネ・クロネが仲良く写っている写真アルバムを開いた。


「(ねぇ…流月。流月はお姉ちゃんが女王を継承するって もう何処かで聞いたかな?お姉ちゃんが女王になる事 流月ならどう思うかな――?)」


「……クロネ様」

「だっ…誰ッ!?」


クロネの目の前に…黒ずくめの怪しい男が現れた!!


「(部屋の鍵は閉めていた筈なのに…?)…今すぐここを去りなさい!! 護衛の者を呼びますよ!!」

「…まぁまぁ、落ち着いて。貴女の望みを私が叶えて差し上げますよ」

「……私の、望み――?」


「えぇ。お姉さんの代わりに、貴女が女王になる方法があります」

「何…ですって?どうすれば良いの?」


黒ずくめの男はニヤリ…と笑った。


「…では先ず、この契約書に貴女のサインを――」


その契約書には――“私は ホワイト城の女王を継承する事を 此処に誓います”と書かれていた。


クロネはゴクリ…と息を飲んだ。


「――お姉さんを助けたいのでしょう?」

「えぇ…そうよ―――」


お姉ちゃんは、何も背負わないで良い……私が――お姉ちゃんの代わりになるの!!


「では ここにクロネ様のお名前をご記入下さい」

「………」


※~※~※~※~※~※


「それで――クロネ様はその“契約書”にサインしたのか……」

「…はい…恐らく」


契約書にクロネがサインした後……白いホワイト城が段々と黒くなってきた―――。


「城の異変に気付いたオルタナが、いち早く私や城の者達を 城の外へ逃がしてくれました――オルタナ…無事だと良いのですが……」

「そっか……」

「………」


ずっと黙って シロネの話を聞いていた流月はハッ!!とした。


「その…怪しい男の特徴は!? どんな感じだったメポ!?」

「オルタナの情報ですが…身長は約180~185センチ程の長身で、髪は赤茶色。 ポニーテールの若い暗黒騎士だそうです」


「…あ…暗黒騎士!?」

「…まさか――」

「カイトが……!?」


「えっと…お知り合いの方――ですか?」

「あぁ…俺達の――因縁の相手だ!!」

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