第5話 流月の昔話

「カイトの…馬鹿ッ…!! う、ううっ――」


真依は、泣き崩れた…。


「ま、真依ちゃん――」

「ふふ…ごめんね。 みっともない所見せてしまって―――」


「ううん…!!」と 流月は頭を横に振った。


「真依ちゃんが来てくれたから助かったメポ…。真依ちゃんカッコ良かったメポ!!」

「……流月ちゃんと芽依が無事で本当に良かったわ。」


「―――あまり…覚えていないけど…私は10年位前、ここみたいな村に住んでいたメポ」

「(――流月…ちゃん…?)」


流月は、真依に自分の昔話を始めた…。


流月は幼い頃、星空と月が綺麗に見える、小さな村で暮らしていた。

流月にも、家族がいた。


だけど流月は自分の本名も、家族の事も…何も覚えていない。


何故なら…10年前。


流月の村は…突然何者かに襲われた。


幼い流月の目の前で、沢山の人が死んで逝った―――流月も殺されそうになった……。


「ただ逃げるだけで…何も出来なかったメポ」

「…………。」


お母さん、シロネ様、じぃじが…流月を助けてくれた。


そしてシロネ様が“流月”の名前を下さった。


「私は、村を襲撃した犯人の手がかりと、生き残っているかも知れない家族を、ずっと探してるメポ…」

「………。」


シロネ様に、手紙と三日月のペンダントを残して…流月は盗賊になった―――。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る