第2話 お受験
美咲と大輝が結婚して8年が経過した。
そして…結婚1年目に誕生した娘のさくらは現在小学2年生の7歳。
よく「学歴社会は終わった」などと言われて久しいが、現実は違う。
お受験ブームは天井知らずと言われる昨今、何と……首都圏を中心に受験者数を伸ばし続けている「小学校受験」。早慶附属や新難関校は倍率10倍超え!
その背景には、中学受験の激化や、共働き世帯を受け入れる体制を整える私立小の出現などが考えられる。
6歳児たちの「11月の勝者」を目指す戦いが激化。東京の私立小学校は毎年11月上旬に入試を実施するが、その戦いは年々激化の一途を辿っている。
◇◇
そんな天井知らずと言われる「お受験」を勝ち抜いて超難関付属私立小学校に入学したさくらだったが、一難去ってまた一難。
プライドの塊のママたちによるママカーストの、戦いの火ぶたが切って落とされた。
それでも…1年生では、まだこれといった問題は起きなかった。そして…夏休み明けの2学期から徐々に派閥らしきものがチラホラ出来始めて来た。
だが、2年生頃から顕著に現れ始めて来た。それではどのような経緯でママカーストが表面化して来たのか?
それは些細な事が発端となった。
まだ小学1年生の1学期で、成績と言ってもまだ目立った差は無い段階だったが、独り飛び優れた天才児がいた。小学1年生の1学期と言えば国語の漢字も一、二、三このような漢字か、年、月、日このような程度。算数もまだ「10までのかず」「 いくつあるかな」その程度だ。
だが、その天才児は1年生だというのに英語もペラペラ、国語も小学6年生程度の漢字が読めて、算数では比例と反比例が理解できる天才児だった。
だから……当然1年生のテストはオール100点。このような飛び優れた天才児なので父兄の間でもたちまち大評判となった。
慶高学院は4クラスに分かれていてA、B、C、D、といった具合にクラス分けされている。
Aクラスが将来医者や弁護士と言った知性を優先するクラス。
Bクラスは才能あふれる人材を育成するクラス。
Cクラスは、親が慶高学院の卒業生で実業家というのがよく見られるパターン。家業を継いで社長になっている同級生が多い
Ⅾクラスはサラリ―マン家庭のお子さんが殆ど。
だがこの慶高学院は、それこそ……日本のトップのお子様たちを縮図化したほどのお家柄のお子様達ばかり。
その天才児は当然それだけ優秀なので、小学1年生ながらクラスのボス的存在だった。そして…その子のクラスはそれだけ知性溢れるお子様なので、Aクラスかと思いきやⅮクラスだった。
◇◇
2年生になったある日の事だ。1人のクラスメイトが、その天才児に向かってこう言った。
「お前の家に変な人がいるらしいな?それも……誰か知らない行方不明の人を家に隠しているらしい?」
「大和君なんて事言うんだよ?誰がそんな事言っていたのさ?」
「ともかく君の家は問題のある家だって事だよ。パパは警視総監でそんな事筒抜けさ」
「何で……そんな事言うのさ。そんな事……そんな事……ある訳無いじゃないか」
それではこの男の子木村大和(キムラヤマト)君は何故こんな出まかせを言ったのか?
それは……この木村君も成績優秀な息子で、Ⅾクラスでは天才児山下優馬(ヤマシタユウマ)君の次に優秀な生徒だったが、教育には非常に熱心な家庭で、事あるごとに天才児山下君の事を引き合いに出されて頭に来ていた。
そこでこの天才児山下君をギャフンと言わせたくて、こんな暴言を吐いたのだった。だが、この事が原因で今まではクラスのボス的存在だった天才児山下君は、クラスで孤立してしまった。
それでも…この天才児山下君はこのような根も葉もない噂を立てられて、黙って引き下がっているような子供では無かった。目には目を歯には歯を、ありもしない事をでっち上げられ頭にきた山下君は、木村君の家の事情を徹底的に調べた。と言ってもまだ小学2年生なので時間のある時だけだが、ある日この家の秘密を探り当てることが出来た。
それは……そのままそっくりお返ししたい出来事であった。
実は…この木村君の父は警視庁のトップ警視総監様だが、家には殆ど帰っていなかった。実は…部下と不倫関係に有り妻とは離婚話が持ち上がっていた。
それでは……何故警視総監様とも有ろう立派な人物が家庭を捨てて、ましてや部下に手を出してしまったのか?
実は…年の離れた兄がいる木村君のなのだが、兄が家庭内暴力で仕事にならないので別にマンションを借りて住んでいたのだが、女性警官の部下が度々そのマンションに顔を出し、身の回りの世話を買って出ていた。こんな事から深い関係になって行った。
それでも…長男の事では無責任すぎるのでは?
どうも母親の教育熱心が祟り長男は精神に異常をきたしているらしい。そこで精神病院に入院させていたが、どうしても退院したいと言うので薬で補っているらしい。だが父は治るまで精神病院に入院させておくことを望んだが、勝手に退院させてしまった。そんな事情もあって益々夫婦に溝が出来ていた。
そして…最近では町で見掛けた若い娘を地下に連れ込んでいるらしい。その事実を握った天才児山下君はクラスの皆の前でその事実をぶちまけた。
「木村お前は卑怯な奴だ。自分の家の中の事をさも僕の家の事のように言うなんて卑怯だ。僕見たんだ。君のお兄さんが知らない女の人を無理矢理家に閉じ込めている所を……」
ただの子供同士の喧嘩が、隠しておきたい一番知られたくない秘密をぶちまけられた事によって、プライドの高いご婦人方の逆鱗に触れて取り返しのつかない大事件へと繋がって行く。
それでも…何故木村君はこんな出まかせを言ったのか?
実は…兄が連れ込んでいるこの女の人から出会い頭に、いつも睨み付けられていたので、木村君はこの女の人が大嫌いだった。そして…赤の他人が家にいる異様な光景が、どうしても我慢できなかった。それなのでやめて欲しい願望も込めてそんな事を暴露したのだった。
そして…この天才児山下君の家にも、想像を絶する秘密が隠されている。
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