第12話 コラボ配信

「———えー……はい、老若男女、ニートから金持ち敏腕社長までこんにちは。世界が誇るF級ハンター、白星です」


 俺は少し遠慮気味に挨拶を行う。

 そんな俺の横には、まだ映っていないがレオナ様が待機している。


 配信をスタートして僅か数秒でリスナーは5000人を突破し、10秒も経てば10000人を裕に超えていた。


《おっす》

《おひさー》

《久し振りだな》

《言うて1週間やん》

《寧ろあんな激闘繰り広げて1週間しか休まないの偉いな》

《マジそれな》

《ところで、コラボって何なんだ?》


「あーうーん……コラボな。あーそれはーえっとなぁー……」


《何だよ早く言えって》

《これ以上待たせるとか鬼かよ!》

《気になって気になって仕方ないんだよ!》

《仕事に集中出来なかったらどうすんだ》

《気になって夜と昼しか寝れん》


「仕事中は見るな馬鹿野郎! それと夜しか寝れんて普段いつ寝てんだよ!」


《早朝、朝昼晩、深夜》

《ただのニートで草》

《いや引き篭もりニートの間違いだろ》

《ニートでもそんなに寝んわ!》

《それよりはよ教えて》

《もう引き伸ばさなくていいから》


「ええい、分かった言うから! 言うけど、ただお前ら絶対ビビるなよ!」


《どうせ妹ちゃんだろ》

《それで一緒にB級ダンジョンにでも行くのか?》

《レオナ様?》

《何馬鹿なこと言ってんの?》

《流石にレオナ様は無理》

《レオナ様のチャンネル登録者数2800万人やぞ無理や》

《そもそも今アメリカだしな》


「———はいお前らの予想は1人以外全員大外れ! 今日の特別ゲストはレオナ様です!」

「よう、レオナだ。前までお前らリスナー側だったが……私のお願いで今日は白星配信者側でやらせて貰うことになった」


 俺のドローンカメラにひょっこりと映りに来ては、普段配信が始まっても全く挨拶しないのに、珍しく配信で挨拶をするレオナ様。

 そんなレオナ様の姿が現れた瞬間———コメント欄が不意に止まり……。


《は!?!?!?》

《だにぃいいいいいいいいいいいいい!?》

《レオナ様だとぉおおおおおおおおお!?》

《おい白星どう言うことだ!!》

《ちゃんと説明してもらおうかッ!!》

《てか普段アメリカにいるレオナ様が何で日本に居るんだよ!?》

《おい、偽物だろ!? どうせ偽物なんだろ?》

《ああ、そうか、これはレオナ様のリスナーである白星が考えたドッキリなんだな》


「誰が偽物だ! おい、レオナ様に失礼だろ!! このお方は歴としたレオナ様ご本人であるぞ! 何ならレオナ様のチャンネルに確認しにいけ大馬鹿ども!」


 俺がキレ散らかして喚いていると、レオナ様が何やら不気味な含み笑いをして言った。


「どの口が言うのか。白星も始めは夢だとか言って信じなかったじゃないか」

「それは言わないお約束なんですレオナ様」


《おい、白星》

《俺らとやっぱ同じじゃねぇか!!》

《よく人のこと言えたな!》

《コメントでしか言ってない俺らより酷いじゃねぇか!》

《そうだそうだ!》


「おいおい五月蝿いぞお前ら! 俺はセーフなんですぅぅぅぅぅぅぅ!!」



 こうなった経緯は———数日前に遡る。









 ———数日前、レオナ様にコラボを提案されたすぐ後。


「———絶対にダメです!」

「いや、やるぞ」

「いや、何で唯とレオナ様が言い合ってんの!? 俺の意見は、俺の意見を尊重して下さい!!」


 何故か俺ではなく、唯とレオナ様が言い合っていた。

 何なら俺が当事者であるはずなのに、ガン無視されている始末……と思ったら唯が此方をキッと鋭い目つきで睨む。


「お兄ちゃん……自分が何したか分かってる? 今回は本当に死ぬかと思って物凄く焦ったんだけど?」

「その節は誠に申し訳ございませんでした言い訳もありません」

「なら分かるよね? もうお兄ちゃんには配信をやめて貰う」

「あ、いや……それは……」

「———それはダメだ」


 俺が何も言えず固まっていると、レオナ様が毅然とした口調で言い放った。

 しかし唯はS級ハンターであるレオナ様に怯むことなく言い返す。


「家族の問題に全くの他人が割り込まないでください」

「それは出来んな、もう白星には30万人以上のファンが居るんだ。勿論私もその1人だ」

「でもお兄ちゃんの命の方が大切です」

「だから私とコラボをしようと言っている。私ならば白星が危ない時は守ってやれる」

「か、かっこいい……!!」

「お兄ちゃんは黙れ」

「はい」


 レオナ様の言葉に感動する俺だったが、唯にガチの目で睨まれて身を縮こませた。

 

 いや怖すぎるって。

 唯よ……ブラコンにも程があるだろ。

 そろそろ彼氏でも作ったらどうだい?


「……本当に守って下さるのですか?」


 ———お?


 俺は話の流れが此方向きになっていることを感じて余計な事を言って覆されない様に静かに黙って聴く。


「勿論だ、私が必ず守ろう。私はA級以下であれば特異ボスであっても負けない」


 A級の特異ボスはS級中位程度の力を持っており、噂によればステータスは1000を超えているらしい。

 そんな相手に絶対に負けないと豪語するレオナ様はステータスが1000以上あると言うことか。


 …………俺、本当に雑魚いんだな。


 俺が割と本気で落ち込んでいると……それまで無言だった唯が大きなため息を吐いて口を開いた。


「はぁ……分かりました。お兄ちゃんは貴女に任せます」

「ああ、絶対に守ると誓おう」


 

 ———てな感じで決まったわけである。


 

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 人気が出れば1日2話上がるかも。  


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