第8話 やってやんよ!
「…………作戦会議だお前ら。俺はアイツをぶっ倒すぞ」
《マジかよ……》
《根性だけはS級以上だな……》
《オークエリートとは比べ物になんないくらい強いぞ?》
《白星さんに行かんのか?》
《お兄ちゃん、絶対にダメだよ》
《行ったら許さないから》
《唯:【50000円】お金なら幾らでも上げるから絶対に行かないで!》
「すまんな、妹よ……お兄ちゃんは配信者なんだ……配信者としてこんなに美味しい所を逃すわけにはいかないッ!!」
俺は拳を握って力説(謝罪)する。
毎度毎度妹に心配掛けて悪いとは思うが……止める気もサラサラない。
それに、実を言えば……皆が言うほど危機的状況でもない。
今の俺のステータスを少し見て貰いたい。
—————————————
【名前】白星直斗
【種族】人間(雑魚乙)
【年齢】18
【Level】7↑
【体力】5↑
【魔力】5↑
【攻撃】5↑
【防御】5↑
【敏捷】5↑
【スキル】
《下剋上:I》《スキル強奪:I》
《経験値半減:Ⅴ》
【強奪スキル】
【ユニーク】
《決死の覚悟:I》
【コモン】
《筋力増強:II》《棍棒術:II》
《投石術:Ⅱ》《精力増強:Ⅳ》
—————————————
相変わらず雑魚ステータスではあるが、ゴブリンを倒しまくったお陰で様々なスキルを手に入れた。
1つゴミがあるが、それは放っておこう。
強奪したスキルで特に優秀なのが、普通のスキルより強力な【ユニーク】の《決死の覚悟》と言うやつだ。
このスキルは自信が死に直面している場合、後でステータスダウンを喰らう代わりに全てのステータスを10上げてくれる。
これがあれば、相手とのレベル差が10以上あるため《下剋上》が使用できるのでステータスはオール50にプラス10出来ると言うわけだ。
更に《筋力増強:II》で筋力が少し上がるので、これでそこそこ太刀打ち出来るのではないだろうか。
いや、普通に勝てんじゃね?
「———どや、俺の渾身の作戦は」
俺はステータスを見せながらの説明を終えると、11万人のリスナーにドヤ顔で問い掛ける。
《意外と強くなってて草》
《今戦えばオークエリート余裕じゃん》
《精力増強が1番レベル上がってるやんww》
《確かにww》
《全く戦闘に意味ないけどなww》
《マジレスすると、ステータス的には圧倒的に負けてるな》
《それな。うろ覚えだけどゴブリンエンペラーって104、54、92、96、71とかじゃなかった?》
《確かそんな感じ》
《魔力以外負けてて草》
「……あれ、ゴブリンエンペラーってそんな強い感じ?」
俺はコメント欄に書いてあった少し予想外なステータスの高さに目を見張る。
明らかに俺よりめちゃくちゃ強い。
あれ、俺的には全部70くらいかな、とか思ってたんだけど。
何ならバフ掛けまくりの今の俺なら勝てるとか思ってたんだけど。
そんなにお強いんだ。
《めっちゃ強いぞ》
《確かC級最上位くらいじゃないか?》
《凡人の限界レベルの強さな》
《C級とか普通に超人レベルなんだよな》
《ちな、白星さんのステータスは本気の時でC級下級レベルかなぁ》
《うん、これは正面から行ったら負けるな》
《おつかれ白星さん》
「誰がおつかれじゃ! お前らの言う狡い手でも何でも使ってぶっ倒してやるわ!」
俺はヤケクソ気味に扉を開いて突っ込んだ。
「———グォオオオオオオ———ッッ!!」
「五月蝿いわ! 《下剋上》《決死の覚悟》《筋力増強》———しゃあ、やってやん……よ…………あ?」
俺は全てのスキルを総動員してステータスを爆上げさせ、自身に発破を掛ける様に叫ぶと同時に———急にゴブリンが現れた。
ゴブリン15体は、ゴブリンエンペラーを守る様な位置でそれぞれ武器を構えている。
「な、何だよアレ……? え、俺より良い武器持ってんじゃん」
虚を突かれた俺は、半ば呆然気味に言葉を吐き出す。
それは俺だけではなく、コメント欄も大騒ぎになっていた。
《おいおいコレはないだろ!?》
《此処本当にD級ダンジョンか!?》
《ゴブリン(職業持ち)とゴブリンエンペラーの組み合わせなんてC級ダンジョンでも出ないぞ!?》
《白星、これはマジでやばい!!》
《逃げろ!》
《おい、救援呼べ! D級ダンジョンならB級以上のハンターなら無理やり入れるだろ!》
《お兄ちゃん! 今から行くから!!》
コメント欄を流し見していると、妹のコメントが目に入る。
どうやら妹が此方に向かうらしい。
———ただ妹にそんな危ないことはさせられません!
「お前ら……やるぞ、妹が来る前に!! 指示厨でも何でもいいから頼む!! 音声読みにするから助けてくれ!」
俺はドローンを音声読みに変更すると、手に複数の閃光玉を持ち———《投石術》でぶん投げた。
「グォオオオオオオ———ッッ!!」
「かかってこいやぁあああああああああああああ———ッッ!!」
俺の雄叫びと同時に閃光玉によってボス部屋が眩く光り輝いた。
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人気が出れば1日2話上がるかも。
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