第4話 2階層むず過ぎん?
「「「「「グギャギャギャ!!」」」」」
「でぇぇええりゃぁぁああああああッ!!」
俺は1階層で倒したオークエリートの斧を《筋力増強》を使用して引き摺りながらゴブリン達に立ち向かっていた。
正直めちゃくちゃ重たいが、今はそんな事を言ってられる状況ではなかった。
「———いや多すぎるって! 何だよこれ、ボスは一体何処だよボスは!」
俺のアイテムが完全に底を付きそうになっていたのだ。
本来は1階層でそこそこ強くなる予定だったので、アイテムは持って来ているには持って来ているが、鞄の容量的にも限りがあった。
そしてレベルもステータスも雀の涙程しか上がらないと言う非常事態によって、アイテムを全てゴブリンを殺すのに使う羽目になったと言うわけである。
「ねぇ、誰かゴブリンの倒し方知らないですかね!? ちょっと退路まで断たれそうなんだけど!!」
《無理だよ、白星のステータスじゃあ》
《もう逃げろとしか……》
《初めて見るぞ、配信者でゴブリンに追い詰められてる奴》
《しかも舐めプじゃなくてガチでな》
《ゴブリンに苦戦し過ぎだろ!》
《いや、10体ゴブリンいたらD級ハンターでも下手したら死ぬぞ》
《逃げろ白星!!》
《救援呼ぶか!?》
《初配信で死ぬとかマジでやめてくれよ!?》
《軽くトラウマになるわ!!》
「ほんとにごめんね! でも仕方ないじゃんか! オークエリート倒したし、ゴブリンくらいなら倒せると思ったんだよ!!」
そう———完全に調子に乗ってしまった結果ボコボコにされていた。
ステータスでの勝ち目など無い。
アイテムもほぼ全て使い切った。
「…………え、めちゃくちゃ詰んでるやん」
俺がそういうと、エグい程高速でコメントが流れ出した。
《今更気付いたんか!?》
《遅過ぎるって!》
《コイツやっぱりバケモンや!》
《取り敢えず逃げろ!》
《1階層に戻れば追いかけてこないぞ!》
《てか、ゴブリンに殴り掛かったら殺せんのん?》
《無理だろ》
《筋力4には不可能》
《つまり白星の言う通り詰んでるのか》
《何とかこの包囲網から脱出しないと》
「くそ……こうなったら今日は攻略諦めて戻るか……」
俺的には今日中に攻略する気満々だったのだが……今回どれ程までに俺が雑魚いのか改めて思い知らされた。
やはり、もっとアイテムを買うしか無い様だ。
《そうしろ》
《また次も見てやるから》
《チャンネル登録したから焦るな》
《最強:【30000円】これで閃光玉買え》
《ボンボン:【50000円】俺のも使えよ》
《和也:【3000円】少ないけど、俺のも渡すから逃げようぜ》
《レオナch:【50000円】》
《レオナch:【50000円】》
《レオナch:【50000円】》
《レオナch:【50000円】これで絶対生きて帰って来い》
《レオナ様再び登場!!》
《すげぇええええ!!》
《20万円とか……流石レオナ様……》
《おい白星! 絶対に生きて帰れよ!》
「承知致しましたレオナ様!! 絶っっっっっ対に生きて帰ります! 他の皆んなもスパチャありがとう! 全部アイテム買う費用にするわ! うぉおおおおおおお———くたばれゴブリン共ッッ!! ロケットランチャーァァァアアアアアア———ッッ!!」
俺が最後の最後まで出し惜しみしていた1個30万円の低レベルモンスター用ロケットランチャーを心置きなくぶっ飛ばす。
ロケランは炎を噴射させながらゴブリン達の群れの中に飛び込み———大爆発。
俺はその様子に目も向けず、落ちているオークエリートの斧を《筋力増強》と火事場の馬鹿力で持ち上げながら全力で1階層に向けて駆け抜ける。
ゴブリン達は俺の様な雑魚より爆破された仲間が心配の様で、一度も攻撃されることなく包囲網を抜け出すことが出来た。
しかし俺は油断することなく全力で1階層の階段を目指す。
そして1階層へと続く階段を駆け降りると、そのまま地面に倒れ込んだ。
「だぁぁぁぁぁ……危なかったぁぁぁ……ガチで死ぬかと思っ———すみませんでした」
俺はもはや目で追えない速度で流れるコメント欄に安堵のため息をしていたことも忘れて口を閉じる。
《ロケラン持ってんのかよ!!》
《まだ隠し持ってたのかよ……》
《あるならさっさと使えよ馬鹿野郎!!》
《無駄に心配しただろうが!》
《まあ1つ30万円をぶっ放すのは少し勇気がいるよな》
「そうだよなぁ! やっぱり30万を出し惜しみする俺はおかしく無いよな!」
《おかしいに決まってんだろうが!!》
《金より自分の命を大切にしろ》
《いつか大怪我じゃ済まなくなるぞ》
《ほんとそれ》
《同感》
《ただでさえ白星ってクソ雑魚なんだしな》
「うっす……」
俺は前代未聞の、逃げなくてリスナーに怒られると言う経験をした。
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人気が出れば1日2話上がるかも。
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