第9話 『 青年 その2 』
グリーンでいることのメリットですか?いやあ、何かなあ。
ええ、確かに所謂【特異能力】はありますよ。僕の場合通常より記憶力が優れているってことかな。でも生まれつきですから周りが思うほど有難いとも思ってなくて。
え?ちょっと嫌味ですか?
ああ、 いじめですか。 はい 小学校の頃はありましたね。最近よく子どもの犯罪が低年齢化したって騒がれるじゃないですか。あれって僕は嘘だと思いますね。だって体験上子どもはもともと純粋で、尚且つ残虐ですよ。でももし子どもが犯罪に走ったらその半分は周囲の大人の問題だと僕は思いますね。親だけじゃありませんよ。周りの大人全体のね。今騒いでる人はそれを本当に認めようとしないで、ごく一部の責任にすり替えて安心しようとしてるんじゃないかな。そう思いません?
将来のことですか?僕、あまり具体的に考えないタイプなんですけど結婚はしたいですね。相手はノーマルでもグリーンでも構いません。相手を好きで、相手も僕のことを気に入ってくれるんならね。
今ですか?この大学で僕はグリーンの『ゆずり葉』について研究してるんです。面白いですよ。僕はこの現象を病気とは受け止めていないんです。もちろん医学部ですから自然科学的に研究していくわけですけど、最近不思議と哲学とか宇宙物理学の方に親和感を抱いていますね。このテーマの根底が深い理由ですね。
えっと、確かあなたは仏文2年の渡瀬マキさんでしたよね。ええ、また記事になったら連絡下さいよ。僕もあなたの文章読んでみたいですから。
あ、今日これから雨になりますよ。え?天気予想の能力はありませんよ。今週の週間予報を覚えていただけですから。
もうすぐ春ですね。なんだか春って無闇に胸踊りません?僕だけかなあ…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます