王都到着!ギルド試験を行う!
ティナを加えて5人となったシオン一行はその後何事もなく、王都へと入った。強いて言えば美人が多くて目立ったくらいだ。
アルテミア王国の王族、貴族は女が当主である場合が多いため、貴族の強引な引き抜きなどは少ない。一行は旅の疲れを癒すため、ティナの案内で宿へ向かった。
「ここがおすすめの宿、やすらぎ亭です!」
さっそく中に入る。外見はよくある木造の建物だったが、中は意外にきれいだった。どうやら、一階に受付と食堂があり、二階が宿泊部屋らしい。ミカとエルが受付を済ませる。
「三人部屋と二人部屋を頼む。」
「かしこましました。食事とお風呂はどうなさいますか?」
「両方おねがいするわ。」
「はい。では金貨二枚になります。」
エルが金貨を渡した。
「私までいいんでしょうか?」
ティナの疑問にイグニールが返す。
「ご主人様がいいと言っているのだからいいのだ。」
「では、お言葉に甘えさせてもらいます。」
ちなみに部屋割は三人部屋にシオン、エル、ミカ。二人部屋にイグニール、ティナとなった。
「お風呂は備え付けとなっております。魔道具に魔力を流してお使いください。」
そう言って受付は魔道具と部屋の鍵を渡す。
「食事は部屋にもってきてもらえるか?」
「はい。そのようにいたします。」
シオン達はとりあえず各部屋に行くことにした。夕食は1時間後くらいにもってきてもらえることになった。
「いい部屋じゃないか。ミカ、さっそくお風呂沸かしてくれる?」
「わかりました。」
ミカは魔道具に魔力を流し込み、湯船に水をためた。
「ご主人様、準備ができました。」
「じゃあ入ろうかな。」
シオンが服を脱ぎだすとエルとミカまで脱ぎだした。さすがに驚く。
「えっ一緒にはいるの?」
「だめ?」
「駄目でしょうか?」
目をうるうるさせてくる。あざとい。これにはシオンも負けた。
「わかったよ。なら入ろうか。」
幸い3人部屋ということもあり、すこしお風呂も大きい。三人とも湯船に浸かって足をのばせるくらいだ。シオンはエルに抱えられお湯につかる。背中に心地よい感触を感じた。それをミカがうらやましそうに見ている。シオンはとりあえずミカにも抱えられることにした。
ミカも女性らしく柔らかくシオンを抱え込む。いろいろやばかったが、夕食も近いため自重した。
「いい湯だったね?」
それにむすっと頬を膨らませたエルが答える。
「我慢しなくてもよかったのに…。」
それにミカもうん、うん、と頷く。
「エル、ミカ。今は夕食が近いから。…食事終わって落ち着いたら、ね?」
先ほどの不機嫌そうな顔が幻だったかのように満面の笑みを二人がする。
「約束よ!」
「言質とりました。」
「わかってるよ。」
そうして3人は夕食まで過ごした。一方2人部屋の方はというと
「いい部屋ですね?」
「そうね。」
ティナが積極的に会話しようとするが続かない。それでも何とか話題を探す。
「えーっと、ミカさんもエルさんもとてもキレイですよね?もちろんイグニールさんもですけど。」
この質問はイグニールに引っ掛かったらしい。
「あのお二人は私と比べるまでもない。」
「イグニールさんもとてもきれいですよ!」
「そうか?ありがとう。」
「はい!」
思いのほか会話が弾み、ティナは一番気になっていたことについて聞いた。
「あのー。シオンさんは何者なんですか?」
「ふむ。具体的に答えることはできない。少なくとも今は。ただし、ティナが思っている以上に高貴な方だと考えておけ。それと、ミカ様とエル様はご主人様、つまりシオン様のことを溺愛している。絶対にないとは思うが、シオン様に対して生意気な態度や、悪態をつくのはやめておけ。命が無くなるからな。」
イグニールの真剣な眼差しにティナも本気で頷く。
「は、はい!絶対にしません!ちなみにミカさんとエルさんもとても偉い方なんでしょうか?」
「順位をつけるならばシオン様、大きく開いてエル様とミカ様。そこからまた大きく開いて私という力関係だな。」
「な、なるほど。」
「ただ、やはりこのパーティーにおいて全権はシオン様にある。とにかくシオン様の言動に注意しておけばいい。」
「わかりました!」
そうして各自お風呂に入り少し経ったとき、ドアをノックされる。
「お食事の用意ができました。隣の部屋に準備してありますので。」
「わかった。では、行くか。」
「はい!」
シオン達の部屋に行く。そこには食事が並べられていた。どこから取り出したのか、豪華なテーブルとイスもある。
「待ってたよ。食べようか。いただきます。」
「「「「いただきます。」」」」
食事は普通においしいものだった。どうやら主食はパンが主流なようだ。
その後は他愛のない会話をして部屋に戻った。
「さあご主人様。約束よ。魔法で防犯はできてるから。」
「ご主人様。お情けを。」
そう言ってエルとミカがシオンのベットに行く。
「あぁわかってるよ。」
ちなみにシオンは二人の抱き枕になっただけ。2人とも寝つきがよく、シオンも段々と意識が遠のきそのまま夜が更けていった。
「ううん…。もう朝か。」
「おはようございます。ご主人様。」
「おはよう。ご主人様。」
二人はすでに起きていた。よく確認すると、昨晩脱ぎっぱなしだった自分の服もきれいになっている。
「いろいろありがとう。それで、今日何するか決めるから二人を呼んでくれる?」
「わかりました。」
ミカがイグニールとティナを呼びに行く。どうやら二人はもう準備ができていたようで、すぐにやってきた。
「おはようございます。ご主人様。」
「お、おはようございます!」
ティナは昨日の話があってか少し緊張気味だ。シオンは様子がおかしくて笑う。
「そんなに緊張しなくても取って食ったりしないよ。」
「はい!頑張ります!」
何を頑張るのかはかわからないがとりあえず本題を切り出す。
「それで今日の予定だけど…。俺はちょっとゆっくりするよ。そうなるとエルとミカは俺につくだろうから、イグニール!」
「はいっ!」
「冒険者ギルドに登録してティナと一緒に依頼を受けてきて?」
「かしこまりました。」
「よしっじゃあそんな感じでよろしく!俺はもうひと眠りするから。」
この世界は朝日が昇るころにはほとんどの人が起きているがそうでないシオンには少し早い時間帯だった。シオンはベットに潜った。
「イグニール、ティナ。そういうことだ。今日はお前ら二人の行動になる。」
「ティナちゃん?イグニールはそれなりに強いから心配しなくていいわよ。」
ミカ、エルの順で言う。
「では、行ってまいります。」
イグニールはティナを連れ部屋を出て、言われた通り冒険者ギルドに向かう。
ギルドに行く道中、さすがのティナでもイグニールに質問する。
「イグニールさん。二人で大丈夫でしょうか?」
「心配ない。ミカ様とエル様には遠く及ばないが私は強い。シオン様に頼まれたのだ。どんなことがあっても依頼を達成する。」
とても自信があるようなのでティナはそれ以上何も言わなかった。しかし、この数分後イグニールがどれだけ規格外なのか知ることになる。
「確かここが冒険者ギルドだな。」
「はい。そうです。」
二人は周りと比べてひと際大きな建物に入っていく。中には依頼を受けに来た冒険者が大勢いた。イグニールは周りの目を引きながら受付まで迷わず進む。
「冒険者登録をしたい。」
人族の受付嬢が対応する。
「かしこまりました。王都では試験を受けることによって最大でDランクから始められるシステムがありますがどうされますか?」
「それは時間がかかるのか?それと試験内容は?」
「午前中のうちには終わる予定です。試験内容はAランク冒険者の方と模擬戦をしていただくことで判断されます。」
「なるほど。いつから始める?」
「参加されるのでしたら、この番号札を持ってギルド裏にある訓練場に言ってください。」
「わかった。ティナ。私は試験を受けに行く。」
「試験見に行ってもいいですか?」
イグニールは受付嬢に確認しようとする。すると、
「ティナちゃん?よかったわね!契約してくれる人を見つけたのね!」
ティナはイグニールの後ろにすっぽりと隠れて受付嬢には見えていなかったらしい。
「カリーナさん!はい!昨日契約していただきました。」
どうやらティナはカリーナに目をかけてもらっていたらしい。
「それでどうなんだ。」
「えぇ大丈夫です。観覧専用の場所がありますから。」
「そうか。では。ティナ、行くぞ。」
「はい!じゃあカリーナさん。また。」
カリーナは手を軽く振って二人を見送った。
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