スキル発動!美女天使召喚だ!

 光が収まったのを感じ、目を開けると草原に立っていた。


「転生したんだなぁ。」




  風を感じる。空を見上げると太陽が二つある。うん。確実に異世界。




 次に自分の姿を確認しようとするが残念ながら鏡もなければ近くに川などもなさそうだ。気になることがあったため早急に確認したかったが、仕方ない。後回しだな。服装はしっかり旅人って感じだ。




 んっ?足元を見ると肩掛けカバンが置いてある。


「なんだろう?」




 持ち上げたときひらひらと紙が地面に落ちた。拾って見てみるとそれは転生神様からの手紙だった。


「ん~なになに。」




““無事ついたかの。そこのカバンはプレゼントじゃ。所謂マジックバックじゃ。旅に必要なものも多少は入っておる。有効に使うのじゃ。それと儂が名前を与えたことで種族が変わっているであろうから後で確認せい。ようわからんことがあったら自分の守護天使に聞けばよい。それではの。    我が子へ””






「へ??我が子?えーーーーーーーーーーー!?」


 驚いてどこまでも届くぐらい叫んだ。








「深呼吸、深呼吸。」


 何回か繰り返しやっと落ち着いた。




 まあ悪いことはないし……。ひとまずは自分を納得させる。




 とりあえずステータス確認と…まあいろいろおかしいがあえてスルーだ。ひとまずスキル(守護天使召喚)を使ってみるか。




 どう使うのだろうと考えたとき、頭の中にスキルの使い方が浮かんだ。


「これは神になったからなのか?考えるのは後にして、やるとするか!」




 大きく息を吐く。よしっ。


「我は神の子シオン。司りし権限は天と地。我が言葉に応じる者は、我が許可によってこの世に現れることが許される。来たれ。守護天使召喚!」




 先ほどまで吹いていた風がパタリと止む。空間が歪み天と地から2つの魔法陣が大きく描かれた。




 それは次第に輝きを増した。天の魔法陣は明るく光り輝き全てを照らすように、地の魔法陣は深い闇で侵食し全てを飲み込むかのように広がり、ゆっくりと収縮した。




 そして、そこには2人の美女がいた。唖然としていると、まるで息を合わせたように目の前まで優雅に歩き跪いた。そして揃ってこう言った。




「「お呼びでしょうか?ご主人様!」」


 もちろん俺は驚きで少しの声も出せなかった。




 大きな草原の真ん中には3つの影。そこには、何とも言えない雰囲気が漂っていた。




 これは、おそらく俺が何か言わないとだめだよな。


「顔を上げて。普通に立って楽にしていいよ。」




 二人はこちらを見つめ返事をすると立ち上がる。うーむ。誰がどう見ても美女だな。




 一人は金髪ですらっとした清楚な印象だ。もう一人は黒髪で全ての者を魅了するような雰囲気がある。




 どっちもきれいだなぁと考えていると、各々から


「ありがとうございます。」「うふふ…うれしいわ。」


と返ってきた。声には出していないはず。




「もしかして心読めるの?」


 


 二人は顔を合わせる。そして代表して金髪美女が答えた。


「私たちには守護天使として魂の繋がりがあります。正確なことはわかりませんが大まかな感情は理解できます。」


「な、なるほど。」




 とにかく今はいろいろ聞きたいことがある。


「そういえば俺の名はシオンだ。よろしく!君たちの名前は?」


 そう尋ねると今度は黒髪美女の方が答えた。


「私は死を冠している大天使。神の毒サマエル。エルと呼んでくださいな。ご主人様。」


 そういってウインクされる。うん、控えめに言って最高だな。




「私は聖典騎士団団長、大天使ミカエルです。天使長でもあります。ミカとお呼びください。よろしくお願いします。ご主人様。」


 うん、かわいいです。はい。




「二人ともよろしく。ところで守護天使ってなんなの?」


 シオンが疑問を口にするとすぐにミカが答えた。


「守護天使とは、その名の通り神様を守る者たちですが、あくまでも呼びかけに応じるかは天使たち自由です。呼びかけに応じた天使たちの中で戦い、最も強かった二人が守護天使として神様のおそばにつけるのです。」




 続けてエルが答えた。


「ちなみにご主人様の場合ほぼ全員の天使と元天使が参加したから、本当の意味で最強の二人が来たことになるわよ。」


 だよなぁ。だって二人ともかなり有名な名前だし。深く考えるのはやめよう。二人とも美人。それでOKだ。




「ところでこの場所はどこ?あと周辺の地域とかについても教えてほしいな。」


「「わかりました(わ)」」


 気合の入った二人の返事が重なる。段々と一日の終わりが近づいていく。






 話を聞くとここは大陸横断森林、通称(大魔の森)と呼ばれている所らしい。この世界には3つの大陸があり、このマクアル大陸には4つの国があるのだそうだ。




 1つ目はアルテミア王国。女王1強の国造りに成功し、王室の権力は女性の方が強いらしい。




 2つ目はネスト帝国だ。軍事国家で好戦的だが、大魔の森が邪魔をして今まで大きな戦争を王国には仕掛けていないという。




 3つ目は、ハルミナ連合国。元々小さな多くの国があったのだが同盟を結び多種族国家として栄えている。最後に大魔の森に隔離された国。トウカ和国だ。


 


 二人の話を聞くとこの国には、俺と同じ現人神がいるらしい。周辺の地理はこんなところだろう。さらに気になることも聞いてみた。


「この世界に魔王っているの?」


 答えは簡潔だった。




「います。マクアル大陸の北東に海を挟んで魔大陸が存在し、そこに7人の魔王の存在が確認されています。」


 そこで疑問に思う。


「マクアル大陸の人間と魔族は敵対しているの?」


 


 エルが淡々と答えた。


「しているわ。目的は単純に繁栄と資源獲得のため。ただし、人も魔族も一枚岩じゃないから互いに小競り合いが続いているわね。」




 これらの話を聞いてつくづく思う。とても愉快な時代だと。これからこの世界は荒れる。そんな予感がするのだ。






 あれ、俺こんな性格だったかな?まあいい。






「時には傍観者として。時には味方として。時には敵として。この世界を楽しもう!そのために力をつけよう。俺は世界の歴史を正義の視点で、悪の視点で、そして神の視点で紡ぐ。二人とも、ついてきてくれるかい?」




「もちろんです!」「えぇもちろん!」


 二人は大きく頷いた。二人は気づき、シオンだけが気づいていなかった。彼の精神は神そのものとなったのだと。


 


 果たしてこれがこの世界アルガルドにとって吉となるか凶となるか。


それは誰にもわからない。いや、神のみぞ知る。




「じゃあまずはアルテミア王国に向かおうと思う。あとは野営の準備も必要かな?」


「そうですね。」「そうねぇ。」


 息ぴったり。


「それじゃあ出発しよう。」

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