第11話 日本の幽霊ってよく水場に出るよね

 


 第190階層。


 俺は再び周回作業を開始していた。


 第186階層から第190階層の階層帯では、スキル・造形操作と魔法の経験値がかなり旨いようだ。


 以前にも、回避系のスキルにのみ経験値が旨い階層があった。


 恐らくこの階層帯は、魔法関係のみに経験値が大幅に得ることができるのだろう。


 そして、この階層帯で出現する魔獣は所謂ゴーストと呼ばれる魔獣だった。


 もちろん幽体のため物理攻撃は効かない。


 唯一ダメージを与えることのできる攻撃方法が水魔法だけだった。

 さらに、攻撃では使えないと思っていた飲み水用の魔法ウォーターソーサース・クリアが一番ゴースト相手に効いたのだ。


 攻撃威力の高い氷雪魔法と電撃魔法、どちらもすり抜けるだけでダメージが一切効かなかった。


 恐らく幽霊って、本当に綺麗な水が苦手なのかもしれない。

 塩魔法とかあって、こいつらに効いたりしたらもう確定だろう。


 日本のホラー映画でも幽霊が出現する場所って大体キッチンやお風呂などの水周り、川や橋などの水があるところに出てくるよね。


 とまあ、そんなどうでもいいことを考えながらも190階層のボスを簡単に水魔法で倒した。


 ここでステータスを確認する。



 【status】

   名前 ≫雨川 蛍

   称号 ≫Number 1

   スキル≫パッシブ ≫超動体視力Lv.max

             早熟Lv.max

             魔法力Lv.max

             超バランス感覚Lv.max

      ≫アクティブ≫異世界鑑定Lv.7

             アイテムボックスLv.max

             幻影回避Lv.max

             造形操作Lv.14

   魔法 ≫水魔法Lv.max

       氷雪魔法Lv.16(共存共栄)

       電撃魔法Lv.11(共存共栄)

   装備 ≫防具精霊・冷狐(マフラー)

       防具精霊・雷狸(衣服:上下)



 おっと、ついに水魔法がLv.maxへと表示が変わった。

 魔法はレベル20でmaxになるようだな。


 とすると、幻影回避のレベル25がmaxってやっぱりキリの悪い数字だよな。

 やはり何か引っかかるんだよな……。


 何か法則性でもあるのかな。

 まあ、自分でレベルmaxへと変化させた魔法やスキルはまだ2つしかないから分析の仕様がないのだが。


 切り替えて、水魔法で新しく変化したであろう魔法を確認するため詳細を見てみると


 【水魔法】

   ウォーターソーサース・クリア

   ウォータージェット・ウィップ

   ウォーターフロア・スロウ

   ウォーターバレット・ショットガン

   ウォーターバインド・プリズン

   波動水・インパクト

   ウォーターヒーリング・ダブル

   水月・ダブル

   ウォーターライトソード・スロウ

   オーシャン・ストリーム(NEW)

   超級魔法・オプティカルカモフラージュ(NEW)



 レベル10の魔法「オーシャン」が「オーシャン・ストリーム」へと変化した。


 そんなことよりも!

 その下の欄には見覚えのない11番目の魔法が追加されていた。


 「超級魔法・オプティカルカモフラージュ」か。

 超級って付く割には、光学迷彩ってか。


 まあ、検証するにも一人じゃ無理だな。

 しょうがないか。


「クウ、ぽん。寝てるところごめんな。見てほしいものがあるから起きてくれないか?」


 そう言って、首元のクウと服のぽんをユサユサと揺する。


「ク?」

「ポン?」


 二匹とも眠そうな返事をしてから、防具化を解除してそれぞれ狐と狸の姿へと戻った。


「ありがとな。新しい魔法の検証したいんだけど、一人じゃできないからクウとぽんに見ててほしいんだ。いいか?」

「クー!」

「ポン!」


 二匹とも快く返事をしてくれたので、早速魔法を発動する。


『超級魔法・オプティカルカモフラージュ』


 やはり発動しても自分では変化は分からなかった。

 俺は少しだけ右側に向かって歩く。

 すると、クウとぽんは未だに先ほどまで俺がいた場所をずっと見ていた。


「クウ、ぽん。俺が今どこにいるかわかるか?」

「クゥ」

「ポン」


 あの返事は、たぶんわからないでも言っているのだろう。

 確認したいことは確認できたのですぐに魔法を解除した。


「ほら、こっちだよ。助かったよ、ありがとな。もう防具化して寝ていいぞ」


 すると欠伸をしながら二匹ともまた防具へと戻っていった。


 ふー、この魔法、超級と言うだけあるな。

 この魔法、発動時のMP消費が今までの魔法と比べ物にならないくらい多かった。


 今の俺のMP保有量の約3割近く持っていかれた。

 持続的に消費するMPは誤差範囲内の量だったのでもしこの魔法を使用する場合は事前に使用する必要がありそうだ。


 ついでに、オーシャン・ストリームも検証してみた。


 これはオーシャンで発生させた大量の水を激流の如く勢いのある海水へと変化させて任意に操作する魔法だった。


 しかし、操作自体はかなり難しくコツが必要だと感じた。

 実際に今使った時は、カーブを上手く曲がりきれずに壁に激突して消滅してしまった。

 ただし、その激突した部分はかなり抉れていて威力は高そうだ。


 さ、もう何周かして造形操作のスキルもレベルmaxにしますか!



******************************



『ショットガン・バード』


 190階層のボスを造形操作で鳥の形へと変化させた魔法ウォーターバレット・ショットガンバードで倒した。


 もちろんこんな長い詠唱なんてしてられないのでショットガンバードと省略しているが。


 おっやっと造形操作のスキルがLv.maxへと表示が変わった。

 やはり、これもレベル25で表示が変化した。


 さすがにレベルがmaxになると氷の薔薇なんかもより細く艶なんかも出せるようになった。

 アイスソーンなんかもただの棘として出現させるだけじゃなく茨として綺麗に造形したりもした。


 もうここからは俺の想像力次第で色々できるだろう。

 あとは、俺の発想力を信じるだけだ!



******************************



 遂に、俺は199階層のボスを倒した。


 そして現在、200階層へと降りる階段を降りている。


 しかし、俺はこの時違和感を感じていた。


 この階段、今までの階段よりも長い。

 そして、綺麗な石で舗装されていたのだ。


 確実にこの階層には何かがあるのだろう。


 その階段を降り終えると、すぐ目の前には見上げるほどの大きなアーチ型の石扉が不自然にあった。


 すると、扉が自ら勝手に開きだしたのだ。


 ゴゴゴゴゴ、ガタン。


 人が2人ほど入れるくらいに扉が開くと、その扉は止まった。


 すると。


「やあ、待っていたよ」


 俺はいきなり掛けられた声の方向をすぐに確認する。


 いつもであればそこには魔獣がいるはずだ。


 しかし、その扉の奥には、魔獣ではなく一人の人間が立っていたのだ。

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