第43話 勉強会をしたい姉
〜姉視点〜
私が恋を自覚してから数日が経った。相変わらず美優の距離感は近いので、私の心臓はドキドキしっぱなしだ。いつか心臓がオーバーヒート起こしちゃうかも。そうしたら責任取ってもらわなきゃ…。
そして、7月も中旬に入り、そろそろ夏休みも近づいてきた。つまり、期末試験とレポートがもうすぐということだ。
「え~というわけでみんな、期末も近づいてきたし、勉強会でもしない…?」
いつものように食堂に四人で集まっているとき、私は勉強会の提案をした。
「私はもちろん賛成です。」
「勉強会!いいですね!!」
美優も萌ちゃんもすぐに賛成してくれた。
「ふ~ん、勉強会ねぇ…。やるのは構わないけど、高校と違って全員が同じ科目を受講してるってわけじゃないのよ?」
「あ〜、まぁそれはそうなんだけど、その…私の勉強を誰かに見てほしいなって…。」
そう、勉強会とか言っているが、その実、私の勉強を手伝ってほしいという理由だ。べ、別に勉強が苦手ってわけじゃないけどね??
「あぁ、そういうことね。言っちゃ悪いけど、アンタ勉強できないしね。どうして同じ大学に来れたのかしら?」
秒でバラされた。ひどい。
「うわ〜ん、ちーちゃんがいじわる言ってくるぅ…。美優慰め…んんっ、ごめんやっぱなんでもない。」
美優の手が私の頭に触れる直前でピタッと止まる。不思議そうな顔で手を下ろす美優。
まぁ前はそのまま慰めてもらったもんね。でも今ナデナデされちゃうと、私の心臓が爆発しちゃうだろうし…。最近はなかなか美優と触れ合いが出来なくなってしまった。主に私の恥ずかしさが原因で。
「…あ~、えっと…とりあえず勉強会開くってことでいいのかな?」
「まぁそうね。でも場所はどうする?」
「ん〜…どうしよ。何も考えてなかった…。」
「四人で集まるとなると、なかなか難しいですね。」
「複数人で集まれて、長時間いられる場所ってどっかにあるかなぁ…。」
う〜んと四人で唸る。やば…場所のことなんにも考えてなかった…。
…ん〜やっぱこういうときってカラオケがいいのかなぁ…。でも私音痴だから歌うって流れになるとちょっとなぁ…。むむむ…。
……そういえば、小学生の時に私が音痴だって教えてくれた、えっと…なんとか君は元気にしてるかなぁ。あの時は確か「これからオレ以外に歌を聞かせるな」って言われたんだっけ?なんでって聞いたら、目を逸らされながら音痴だからって言われたんだよね。
いや~、人に聞かせられないくらいひどい歌声だったとは…。我ながら恥ずかしい。なんとか君はよく我慢して聞けたね。ほんとに。
こんな醜態なのに当時は歌うの好きだったんだもんなぁ。父さんに褒められて舞い上がってたんだっけ?親バカって怖いね…。まぁ今はもう歌わないようにしてるから別にいいけど。
なんてことを考えてたら、唐突に萌ちゃんが立ち上がった。私はそれにびっくりして一瞬だけ美優にくっ付いちゃった。美優に「今ので驚くんですね。ダサッ。」とか思われてないかな…。大丈夫かな、嫌われてないかな…。
「…あっ!!それなら皆さんでうちの家に来ません?うち一人暮らしなんで、どうせならお泊り会とかやっちゃいましょうよ!!」
にししと笑う萌ちゃん。って、お泊り会!?すっごく楽しそう!!
「いいの!?すっごく魅力的な提案なんだけど、迷惑じゃない?」
「全然大丈夫ですよ!むしろお泊り会やりたいです!!」
「お〜!ありがとう!!すっごく助かる!!」
お泊り会とか一度やってみたかったから本当に楽しみ!!夜は布団にくるまって恋バナとかしちゃうのかな!?…まぁ私は本人が目の前にいるから言えないんだけど。いつか両想いになれたらいいな…。
「どういたしまして!!美優と千咲先輩も大丈夫ですか?」
「私は大丈夫ですよ。」
「アタシも多分大丈夫だわ。流石に今日じゃないんでしょう?」
「そうですね、土曜か日曜だと助かります!」
「それじゃあ次の土曜はどうかな?」
「はい!大丈夫です!!」
「おっけ~!じゃあ土曜に勉強会兼お泊り会しよっか!」
そんなわけで、土曜日は萌ちゃんのお家にお邪魔することになった。
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